恐怖の年末・祈りの年始

2022年12月01日

漢方坂本コラム

2022年も残すところあとわずか。

12月です。

毎年恒例ですが、私はこの師走がとても怖い。

今からドキドキ、どうか無事で済みますようにと、

天に祈る気持ちです。

年末年始、さまざまなイベントが目白押しのこの時期、

だからこそ体調を崩される方が、とても多くなります。

その要因は様々ですが、大きく分けると3つ。

頑張り過ぎ。

食事の乱れ。

そして寝不足、です。

比較的天候が安定する12月。

寒さにもなれてくるためか、他の月よりも元気になる方が多くなります。

しかし12月の後半になると、徐々に怪しくなりはじめる。

そして年明け、様子を伺うと、

「あんなに元気だったのに何で」というくらいに、体調を悪化させてしまう方が続出してきます。

例えば、

坐骨神経痛にて下半身の痛みや痺れを訴えておられた方。

漢方治療にて痛みと痺れがだいぶ引き、年末にはかなり良い状態だった方が、

年明け早々、いきなり足を引きずって来局される。

どうしたんですか!?と驚くと、

痛みが無くなってとても嬉しかったので、今年こそはと大掃除をかなり頑張ってしまった、というお話です。

実際にあったお話です。

しかも一人や二人ではありません。毎年必ず「頑張り過ぎてしまう方」がいらっしゃるのです。

そのお気持ちはとてもよく分かります。しかしどうか、やり過ぎだけは禁物です。

年末年始は自分の体の声に耳を傾けて、是非ともゆっくりとお過ごしください。

そして食事。

これがまた非常に多い。

年末にやってくる様々なイベント。

クリスマス、忘年会、新年会、家族旅行などなど。

是非とも楽しんでください。そして同時に、「暴飲暴食」にだけはどうかお気をつけください。

治療が進み、良い状態になっている方ほど、

油断とともに食事が乱れて、体調を悪化させてしまう傾向があります。

当薬局におかかりになられている方の多くは、

胃腸の乱れが病態の核になっておられます。

たとえ良くなっていたとしても、胃腸が乱れれば即座に病は悪化します。

そういうものです。胃腸とは、それほど疲れやすいものです。

そして胃腸が疲弊するとともに、おからだ全体に不調が発現してきます。

クリスマスで子供が残したケーキを全部食べた

新年会や忘年会で久々に深酒した

お正月にミカンや餅をしこたま食べた

一日中だらだらとずっと何かを食べ続けた

お気持ちは分かります。とてもよく分かります。でもそれをやってしまうと、年始に胃腸が動かなくなります。

今現在良くなっている人ほど、どうかお気を付けください。

毎年必ず、数人は必ず、せっかく良くなっていた体調が乱れてしまうのです。

そして寝不足。

これが、また厄介です。

特に気を付けていただきたいのが、起立性調節障害にて治療中の学生の皆さま。

ゲームや勉強などで「故意に睡眠を削ってしまうこと」は、どうかおやめください。

昼夜の逆転を故意に起こしてしまうこと、これをされると、起床を回復するまでに非常に多くの時間を要します。

体調を回復するための養生、これを今一度見直しましょう。

そして起きる努力と寝る努力を続けること。当然、一日中ゴロゴロせずに、筋トレに継続して励みましょう。

休みは休むためにあるものです。ですので十分にお休みを取ることも重要です。

ただし、体にとっての休みとは、一日ゴロゴロしていることではありません。

メリハリをもって活動し、お休みを取ること。

それが体が求めている「休み」です。体調が上向きの方ほど、年末年始はぜひとも気を付けてください。

治療によって良くなっていたとしても、

人体は思いのほか繊細です。

薬も何もいらず、自分自身の力だけで体調を維持していくためには、

良くなっている時こそ、養生が大切になります。

12月。さまざまなイベントが盛りだくさんの師走。

まずはこの忙しい時期を、乗り越えていきましょう。

そして休みに入っても、油断は禁物です。

今まで通りの養生を続けながら、年末年末はゆっくりとお過ごしください。

来る2023年、新たな年を迎えるにあたって、

自分自身の体の声に耳を傾ける、

そんな「お休み」の期間に是非、してみてください。



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※コラムの内容は著者の経験や多くの先生方から知り得た知識を基にしております。医学として高いエビデンスが保証されているわけではございませんので、あくまで一つの見解としてお役立てください。

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