手仕事

2020年03月27日

漢方坂本コラム

今ではもうあまり作らなくなっているのですが、

先代である父がまだいた頃、

丸剤(がんざい)と呼ばれる玉の薬をよく作っていました。

大量の生薬の粉に沸騰させたハチミツを混ぜ、

それをこねてこねて最終的にはパチンコ玉くらいの大きさに丸めます。

丁寧に丸めると黒くピカピカに光った丸剤が出来上がるのです。

あれ、大変だったなぁ。

熱々のハチミツでたくさんヤケドしました。

父は作業の効率化を図るため、

それ用の道具をいっぱい作って試していました。

お盆の周りに皮を張り巡らせたやつ(玉いっきに丸める盆・改)は確かに傑作で、

父が遺した功績の一つだと思う。息子しか知らないけれども。

ただ父が言っていたのは、

「人の手」って凄いな、と。

どんなに道具や器具を作っても、

「人の手」でやる方がずっとキレイに仕上がるぞ、と。

しかもキレイって、形がキレイ、ということだけではなくて。

出来上がった玉がなぜか掴みやすい。手に持ちやすく、座りが良い。

それも含めてキレイに仕上がるのです。

人の手って、先端が五本に枝分かれしているけど、

意味があってこの形に落ち着いたんだろうな・・。

【この記事の著者】店主:坂本壮一郎のプロフィールはこちら

※コラムの内容は著者の経験や多くの先生方から知り得た知識を基にしております。医学として高いエビデンスが保証されているわけではございませんので、あくまで一つの見解としてお役立てください。

※当店は漢方相談・漢方薬販売を行う薬局であり、病院・診療所ではございません。コラムにおいて「治療・漢方治療・改善」といった言葉を使用しておりますが、漢方医学を説明するための便宜上の使用であることを補足させていただきます。