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今日、誰かが木陰で休んでいるのは、
昔、誰かが木を植えたからだ。
-ウォーレン・バフェット-
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およそ株式投資とは無縁の私が、
稀代の投資家・ウォーレン・バフェットの言葉を覚えているのには、
少し理由があります。
患者さまたちに伝えたい言葉だったから。
今、木を植えているからこそ、
いつか日にか、その木陰で休むことができます。
治療には、辛さが伴います。
当薬局の漢方治療では、特にそうかもしれません。
煎じ薬を毎日煎じ、
食事・睡眠などの養生をうるさく指導され、
良くなったと感じてもまた波を打ち、
保険治療と比べれば決して安い金額ではありません。
しかし私は、ずっと治療が続くことはなるべく避けたいと思っています。
治療には終わりがあるべきだと。最後は薬の力に頼らず、自分の力だけで体調を管理できるようになるべきです。
だから辛い道のりであっても、かならず木陰で休む日を迎えて欲しい。
そう想いながら、なるべく最短での道のりを模索しつつ、治療に臨んでいます。
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矢のように一年が過ぎ、そろそろ師走。今年最後の月を迎えます。
想えば今年も色々なことがありました。
やはり、一番思い出すのは「天候との勝負」でしょうか。
この仕事をしていなければ、これほど天候の波に一喜一憂することは無かったと思います。
急に雨が降れば、患者さまの頭痛やめまいを心配し、
急に寒くなれば、患者さまのほてりや腹痛を心配する。
不安感や焦燥感など、メンタルの波にもたくさんご対応してきました。
そのたびに、もっと良い方法がなかったのかと、
日々反省を続けてきたという記憶です。
今も現在進行形で、それは続いているわけですが、
そんな中、治療を終えて、今年当薬局を卒業された方も多く、
木を植え続けた結果、迎えることのできた木陰。
天候の波に強く晒されることなく、穏やかな木陰でゆっくり休まれていることを、今も祈っています。
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それでもおそらく、人から心配事や悩みが消えるわけではありません。
卒業された患者さまも、また種類を変えた辛さと、向き合っておられるのかも知れません。
ただそれでも、当薬局での治療の経験が生きていてくれるのではないかなと。
治療の経験は、自分の心身と向き合う機会であったのではないかなと。
例えば気持ちが乱れれば、それを気持ちで解決しようとせず体の声を聴き、
そして体が乱れれば、その原因を生活の中に見つけることができる。
治療とはただ治ることではなく、自分自身に気付けることだと思っています。
治療の先にある木陰とは、そういう「気付ける自分」であると私は思うのです。
だから私は、治療でそれを説明します。
お体の要所を。お一人お一人違う、大切にするべきポイントを。
それを見つけだし、検証し、そして実感してもらうことが治療の要であると。
もし自分のスタイルがあるのだとすれば、私はそこを強く意識していると思います。
だからこそ、治療が良い経験として今後の人生に役立ってほしいと、強く願っているのです。
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加速する月、師走。
忙しい中で、もう一度お体の声を聴きながらお過ごしください。
どうしても生活が乱れやすい時期です。年末年始になると、私はいつも若干の恐怖を感じます。
体調を崩す方が、一人でも少なくいてくれますように。
今、木を植えておくことが未来の自分への投資であるとするならば、
来年の今頃はきっと、木陰で休めているはずです。
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