人の辛さは、あくまで人の辛さ。
それは辛いね、大変だねと、どんなに共感した所で、
患者さまと同じ辛さを感じることが、私にはできません。
ただ、
その辛さの質や原因を、毎日毎日想像しているうちに、
だんたんと少しずつ分かるようになってきた、最近、そんな気がしています。
程度というか、自分に置き換えたらというか、
これは辛いだろうにという感覚が、昔よりは正確に分かるようになってきた気がする。
そして同時に、分かるようになってきました。
患者さまは皆一様に、とても「強い」ということを。
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様々な体調不良を抱え、
病院に行っても理由がわからない、
治療方法がない、治らないという方々。
今にも押しつぶされそうな、弱る気持ちを抱えながらも、
それでも希望を失わず、当薬局にお越しになる患者さまたち。
不安につぶされず、前を向いておられるからこそ、
来局という行動に移せた。それ自体が、強さ以外の何物でもありません。
私と話をして、笑顔を見せる方。
話の後に、治療の覚悟を決められた時のその表情。
辛い中、不安な中、本当に強い気持ちを示してくれている。
人として、尊敬するべき強さです。
そして私の行っていることは、
そういう純粋な強さに支えられているのだなと。
患者さまの強さに支えられているからこそ、
治すためには何をすれば良いのかを一緒に探すことができます。
その強さを示していただけるからこそ、
手間のかかる煎じ薬を、努力を強いられる養生を、ご提案することができるのです。
不安もある、弱さも勿論ある。
でも治療に希望を見いだせるのは、患者さまの人としての強さです。
臨床を始めて十余年。
そういうことが、だんだんと分かるようになってきました。
綺麗ごとではなく、
頭で理解しているというわけでもなく、
ただ毎日毎日、淡々と患者さまのことを想像し続けただけ。
そうしたら、少しずつ分かるようになってきました。
当薬局にお越しになられた患者さまの中には、
本当に弱い方など、誰一人としていらっしゃいません。