本当に弱い方など

2020年12月15日

漢方坂本コラム

人の辛さは、あくまで人の辛さ。

それは辛いね、大変だねと、どんなに共感した所で、

患者さまと同じ辛さを感じることが、私にはできません。

ただ、

その辛さの質や原因を、毎日毎日想像しているうちに、

だんたんと少しずつ分かるようになってきた、最近、そんな気がしています。

程度というか、自分に置き換えたらというか、

これは辛いだろうにという感覚が、昔よりは正確に分かるようになってきた気がする。

そして同時に、分かるようになってきました。

患者さまは皆一様に、とても「強い」ということを。

様々な体調不良を抱え、

病院に行っても理由がわからない、

治療方法がない、治らないという方々。

今にも押しつぶされそうな、弱る気持ちを抱えながらも、

それでも希望を失わず、当薬局にお越しになる患者さまたち。

不安につぶされず、前を向いておられるからこそ、

来局という行動に移せた。それ自体が、強さ以外の何物でもありません。

私と話をして、笑顔を見せる方。

話の後に、治療の覚悟を決められた時のその表情。

辛い中、不安な中、本当に強い気持ちを示してくれている。

人として、尊敬するべき強さです。

そして私の行っていることは、

そういう純粋な強さに支えられているのだなと。

患者さまの強さに支えられているからこそ、

治すためには何をすれば良いのかを一緒に探すことができます。

その強さを示していただけるからこそ、

手間のかかる煎じ薬を、努力を強いられる養生を、ご提案することができるのです。

不安もある、弱さも勿論ある。

でも治療に希望を見いだせるのは、患者さまの人としての強さです。

臨床を始めて十余年。

そういうことが、だんだんと分かるようになってきました。

綺麗ごとではなく、

頭で理解しているというわけでもなく、

ただ毎日毎日、淡々と患者さまのことを想像し続けただけ。

そうしたら、少しずつ分かるようになってきました。

当薬局にお越しになられた患者さまの中には、

本当に弱い方など、誰一人としていらっしゃいません。

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