注意・夏場の台風

2023年08月03日

漢方坂本コラム

今年の5月下旬から6月いっぱいまで、

強力な梅雨の影響で体調が乱れていた方も、

7月に入って徐々に安定する方が増えてきました。

ほっと一安心、しかし、やはりそうは問屋が卸さなかった。

台風6号。

ここでまた大きな波が、発生しています。

今はまだ本州に届いていないものの、

すでに気圧の影響はこちらにも届いています。

今回の波は、「気持ち」の面に強い影響を及ぼしています。

自律神経の大波が、メンタルの乱れを強力に引き起こしています。

自律神経失調症を始め、パニック障害・不安神経症など。

多くが「焦り」や「落ち着きのなさ」を引き起こし、

さらに「イライラ」や「我慢の出来なさ」、「不安」や「神経の過敏さ」を伴う。

自分でもどうしてしまったんだろうというくらいに、気持ちを乱している方が多くなっています。

おそらく今後台風が近づいてくるにつれて、

影響はメンタルだけでなく、体のほうにも及んでくすはずです。

今はまだ肩こりやだるさ、ちょっとした立ちくらみや胃の不快感程度で済んでいるものの、

ここから先より大きな波により、めまいや強い倦怠感、耳鳴りや頭痛、吐き気や腹痛・下痢などを引き起こしてくるでしょう。

台風というのは、それくらい大きな影響を人体に与えるものです。

ここからは、締めてかからなければなりません。

私も下腹に気合が入ります。

台風と体調との闘いです。

自律神経というのは、どうしてこうも分かりにくいのでしょう。

なんで急に悪くなったのか、

せっかく治っていたのに、なんでまた出始めたのか、

自律神経症状は、意図しない形で、突然体に影響を及ぼします。

理由が何故か分からないからこそ、不安になる。

それが、この病の悩み所です。

もっと分かりやすく、起きてくれれば良いのにと。

例えば体に点灯するランプとか、メーターとかが付いていて、

「自律神経が乱れ始めました」と、体がもっと分かりやすく伝えてくれたらいいのに。

自律神経が乱れ始めたぞと、理解することが出来れば、気持ちはもっと楽になれると思うのです。

たとえば、イライラしたり不安になったりしている時に、

あ、私は今自律神経が乱れているから気持ちが不安定なんだと。

何故悪化しているのか分からない、自分でも分かりにくという点が、

自律神経失調のとても厄介な所です。

ただし、実はあるのです。

自律神経を反映するバロメーターがです。

それは、すでに体に備わっています。

人によって違いますが、誰にでも必ず付いています。

そしてそれは、日常的にどこにでも転がっているもの。

例えば、ちょっとした胃の詰まりやみぞおちの不快感という形で、

例えば、動いた時の胸の圧や呼吸の浅さという形で、

例えば、便の出の悪さや肛門の違和感という形で、

また女性であれば月経周期のちょっとした乱れという形で、

ほんの些細な、ほんの小さな形で、

症状といえるほどの重さはなくても、体のどこかに変化が起きる。

体はそれを、私たちに教えてくれています。

ただ、些末なこと過ぎて、私たちが気付いていないだけです。

人体は、私たちが思うよりもずっと偉大です。

広大と言っても良い。まるで、地球が一つ、まるまる収納されているのと同じです。

未知の理論が、縦横無尽に張り巡らされている。

その大道の一つが血管であり、神経であり、

様々な形や流れが、人体には存在しています。

未だに分かっていません。

人体のことは、未だに分かりきっていません。

西洋医学をもってしても分かっていません。

当然、東洋医学でも、分かっているわけではありません。

しかし、現象は観察できる。

それを続けてきたのが、両医学です。

そして東洋医学の視点で見た時に、

人体は、自律神経の表れを、必ず人体に「形」として表します。

治療とは、その表れを掴む作業と言っても過言ではありません。

あ、今日は体が少しいつもと違うぞ、

そういう体の要所を掴み、知ること。

それこそが、自分の体を、病を知ることだと思います。

そういう気付きを心がけることが、

私は治療の本旨だと思っています。



【この記事の著者】店主:坂本壮一郎のプロフィールはこちら

※コラムの内容は著者の経験や多くの先生方から知り得た知識を基にしております。医学として高いエビデンスが保証されているわけではございませんので、あくまで一つの見解としてお役立てください。

※当店は漢方相談・漢方薬販売を行う薬局であり、病院・診療所ではございません。コラムにおいて「治療・漢方治療・改善」といった言葉を使用しておりますが、漢方医学を説明するための便宜上の使用であることを補足させていただきます。