漢方処方の本音

2022年11月26日

漢方坂本コラム

最近、テレビを見ていると、ほんと多いなと思います。

漢方薬のCMが、です。

脂肪を燃やす「ナイシトール」は、防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)です。

腰に効くぅ!の「ラックル顆粒」は、牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)です。

わざわざ漢方名を使わないのは、何か理由があるのかな。

どちらにしてもほんと多いなと。世間に疎い私には実感がありませんが、きっと漢方や生薬が注目されているのでしょう。

ただ思うのが、

ちゃんと売れているのかなと。多分、売れているのだろうけれども。

そして、効いているのかなと。。。効かなければ、そのうち売れなくなってしまいます。

同じく漢方薬を扱う者としては、少々心配です。

結局漢方薬は効かない、と言われてしまうのは、やっぱり残念です。

この道に入って約20年。

また若輩者ではありますが、分かってきたことが少なからずあります。

それは漢方処方の使い方を説明することは、とても難しいということ。

どのような処方であれ、○○に効くと簡単には言えない側面があります。

牛車腎気丸がどのような症状に効くのか、

それを説明することは可能ですが、とてもじゃないけど簡単にはできません。

防風通聖散もまた然り。

この処方なんかになりますと、それこそ非常に奥深い哲学が必要になります。

分かりやすく、簡単に説明することは大切ですが、

だからといって、市販されている漢方薬にそれが出来ているとは、正直思えません。

内臓脂肪を溶かし、燃やすようなイメージで売られているナイシトール。

本当でしょうか。腰に効くぅ!と何故か外国人が叫ぶラックル顆粒。

本当でしょうか。そのまま腰痛に使って、効き目を実感することができるのでしょうか。

ある視点で見れば、漢方薬には2種類あります。

市販薬に向くものと、そうでないものとです。

要点を掴めば、比較的誰にでも使いやすいものがある。

その一方で、そうでないものも、またあるわけです。

防風通聖散や牛車腎気丸は、明らかに後者に属しています。

しかし、前者に属する薬も、当然ちゃんとあります。

その辺りをちゃんと見極めて市販し、さらに要点を説明すること。

それが出来れば、漢方薬は効かないと、言われることはないのではないかなと思うのです。

漢方薬には、家庭に根付く良薬になる可能性が、十分にあります。

今までのコラムでも、そういうものを何度か解説してきました。

上手に利用してほしい漢方薬があります。小さなHPの小さなコラムですが、その要点を説明するべく、何度がチャレンジしてきました。

漢方薬がちゃんと後世に残っていくためにも、微力ながら出来ることをやろうという試みです。

そして簡単に使える漢方薬と、その使い方、その「本音」をこれからも説明していきたいなと。

というわけで、

私、講義をするわけです。

明日、懇意にしていただいている、Moxies鍼灸院さんのお力添えを頂いて。

題して「漢方処方の本音」。

家庭に根付くことのできる漢方薬と、漢方の世界観とを少々、

ご説明していきたいなと。

ご参加いただける方々、どうぞよろしくお願いいたします。



【この記事の著者】店主:坂本壮一郎のプロフィールはこちら

※コラムの内容は著者の経験や多くの先生方から知り得た知識を基にしております。医学として高いエビデンスが保証されているわけではございませんので、あくまで一つの見解としてお役立てください。

※当店は漢方相談・漢方薬販売を行う薬局であり、病院・診療所ではございません。コラムにおいて「治療・漢方治療・改善」といった言葉を使用しておりますが、漢方医学を説明するための便宜上の使用であることを補足させていただきます。