昔、父がまだいたころ、
患者さまにご対応し、漢方薬をお出しした私に対して、
父は必ず、「何を出した?」と聞きました。
「〇〇湯だよ」と答えると、
その後、父は必ずこう続けました。
「他にはどの処方が頭に浮かんだ?」と。
治療に原則があるならば、それは解答が一つでは足りない、ということです。
その時お出しする薬方は一つでも良い。
しかし、治療においては出した薬方が必ず効果を発揮するという保証はどこにもありません。
どんなに出した薬方に自信があったとしても、
二の手、三の手を、初手の段階で用意できているかどうか。
治療得手の先生方ならば、必ずやっていることです。
学校のテストであれば、複数個解答を書けば、点数はもらえません。
しかし実際の治療においては違います。
解答を複数個用意しておくことが、正解を導くための条件になります。
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