比較的穏やかな天候が続いている今日この頃。
歩いていると金木犀が香ります。秋ですね。待ちに待った心地よい季節がやってきました。
この仕事をしていると、季節によって必ず増えてくる病(症状)というものの存在に気付かされます。
不思議なもので、毎年そうなのです。夏には夏の、秋には秋の病というものが、たしかに存在するのです。
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秋に増えてくる症状の一つは「便秘」です。
先のコラムで「便秘」を取り上げた理由はそれです。
秋になると便秘の方が増えてくる。それは長年の経験から、たしかに言えると思います。
ただ、なぜ便秘の方が増えてくるのか。
多分なのですが、外気の温度と湿度の関係ではないかと思います。
秋になって空気に乾燥の傾向が出てくる。そして暑さが和らいでくるというのが、理由ではないかと考えています。
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夏の暑い時期というのは、体の中の熱を外に逃がすように、体が自然と反応してきます。
だから汗をかきやすくなるのですが、同時に便も出やすくなります。
体の中のものを外に排泄する方向へと変化しているからだと思います。
だから夏に便がカチコチに硬くなるという方は、不思議と少ないのです。
しかも夏の湿気が強い時は、どちらかと言えば下痢の傾向も出てきます。
湿気で皮膚がフタをされると、自然発汗が減ってきます。
そして水分代謝が停滞するために、腹中も湿気て下痢の傾向が出るのだと思います。
つまり夏は便が出やすくなり、かつ柔らかくなってきます。
そして秋になると、これらが逆の状態へと変化してくるのです。
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涼しくなるということは、外に排泄しようとする体の反応がなくなってくるということです。
そして湿気がなくなることで、便が柔らかくなる傾向もなくなってきます。
つまり秋になると便が出にくくなり、さらに硬くなってきます。
そうやって便秘する方が増えてくる。夏から秋へと気候が変化することで、排泄を促す時期から、体の中にものを蓄えようとする時期へと、体が自然と変化してくるわけです。
そう考えると、秋に行うべき養生が、少しづつ見えてきませんか?
蓄えようとする反応が、急激に起こらないようにすることが大切なのです。
つまり運動ですね。秋になってきたからこそ、汗をちゃんとかくように運動してみましょう。
外へちゃんと排泄する活動を促すことで、蓄えようとする反応を穏やかに進めていくのです。
そうすると、過剰に蓄えようとする活動を抑えることができます。
食事をちゃんととりつつ、運動を心がけること。そうすることで便も出やすくなります。腸の活動が促されて、過剰に便を詰め込むことがなくなってくるのです。
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秋は「収」の季節です。
これからの冬に備えて、栄養を体の中に蓄え、収めようとする時期です。
体が自然とそう反応してくる時期に、外では穀物が収穫の時期を迎えます。
そして体を動かして、収穫に勤しむ。
自然とともに生きている人たちは、そのあたりの養生が当たり前のように出来ているわけですね。
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