秋の足音

2023年09月27日

漢方坂本コラム

彼岸を過ぎた頃から、

急に気候が変わりました。

秋。

湿気が取り払われて、

ここ数日甲府では、胸をすくような高い空が続いています。

そろそろ涼しくなるかなと思っていた先々週あたり、

まるで梅雨時のような湿気と伴に、低気圧が襲ってきました。

不意打ちの重い雲。体調を崩す方が多かった。

特にメンタルの不調が甚だしく、不安感や焦り・そわそわと落ち着かなくなる、

やっと良くなってきたのにと、治療を断念する方もおられました。

しかしここに来て、この天候。カラっと乾いた心地よい風。

自律神経の乱れも落ち着いてくるのかなとホッとしたのと反面、

されど油断できない「秋」。

調子を崩す方が、増えてくる可能性があります。

今回の急激な気候変化、

最初に感じたのは、夜間が涼しく、人によっては寒く感じたことではないでしょうか。

寒暖差。日中と、夜間との激しい気温差。

急激に寒くなり、かつ急激に暑くなるという寒暖差によって、

悪化する病がいくつかあります。

まずは「酒さ・酒さ様皮膚炎」。

顔が赤くなり、火照るという症状、

更年期のホットフラッシュも、今時期悪化傾向が出てきます。

夜間、気温が下がる時は、朝方起きると顔が火照りやすいという方がおられます。

夏は落ち着いていたのに、ここへきての症状再発。

怖い、不安と思われる方もいらっしゃると思います。

そして次に多いのが「風邪」です。咽からくる風邪。

朝起きた時に、咽がイガイガと痛い。

これは放っておくと、風邪へと移行していく可能性があります。

特に気を付けて頂きたいのが、副鼻腔炎や上咽頭炎などの上気道の慢性炎症にて治療中の方々。

咽の痛みは放っておくと厄介です。そこから炎症が波及すると、落ち着いていた上気道の炎症がすぐに悪化します。

この風邪の理由も、夜間と朝との急激な冷え込みによるものです。

睡眠中に吸っている空気が乾燥し、冷えてくる。これによって粘膜の血行が一時的に悪くなり、咽の炎症を起こしやすくなります。

寝ている時に呼吸を止めるわけにはいきません。そのため咽が痛いと思ったら、即座に対応することが大切です。

以前のコラムでも解説しましたが、桔梗湯や銀翹散がお勧めです。

なければ大根ハチミツでも良いでしょう。熱い湯をゆっくりと飲み、咽を温めるだけでも緩和することがあります。

その他にも急激に冷え込むことでの胃痛・腹痛・便秘・下痢。

さらに下半身の冷えにより悪化する慢性膀胱炎・間質性膀胱炎など。

最近の冷え込み、大丈夫かなぁと、少し心配に想う患者さまが何人もいらっしゃします。

また暑くもなるようです。今日はやや、蒸し暑さが戻りました。

ただしその分、寒暖差は強くなるでしょう。

日中が暑い日ほど、夜間との差が生まれて症状が出やすくなります。

この夏、調子が調い、漢方治療を卒業できた方が何人かいらっしゃします。

どうか、この「秋」が気持ちの良い季節となりますように。

終了した直後の悪化とならないようにと、ぜひとも願うばかりです。



◇養生の実際・秋 ~夜間の冷え込みと悪化しやすい症状~
◇養生の実際・秋に起こりやすい症状 〜咽(のど)の痛みとその予防〜

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