彼岸を過ぎた頃から、
急に気候が変わりました。
秋。
湿気が取り払われて、
ここ数日甲府では、胸をすくような高い空が続いています。
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そろそろ涼しくなるかなと思っていた先々週あたり、
まるで梅雨時のような湿気と伴に、低気圧が襲ってきました。
不意打ちの重い雲。体調を崩す方が多かった。
特にメンタルの不調が甚だしく、不安感や焦り・そわそわと落ち着かなくなる、
やっと良くなってきたのにと、治療を断念する方もおられました。
しかしここに来て、この天候。カラっと乾いた心地よい風。
自律神経の乱れも落ち着いてくるのかなとホッとしたのと反面、
されど油断できない「秋」。
調子を崩す方が、増えてくる可能性があります。
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今回の急激な気候変化、
最初に感じたのは、夜間が涼しく、人によっては寒く感じたことではないでしょうか。
寒暖差。日中と、夜間との激しい気温差。
急激に寒くなり、かつ急激に暑くなるという寒暖差によって、
悪化する病がいくつかあります。
まずは「酒さ・酒さ様皮膚炎」。
顔が赤くなり、火照るという症状、
更年期のホットフラッシュも、今時期悪化傾向が出てきます。
夜間、気温が下がる時は、朝方起きると顔が火照りやすいという方がおられます。
夏は落ち着いていたのに、ここへきての症状再発。
怖い、不安と思われる方もいらっしゃると思います。
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そして次に多いのが「風邪」です。咽からくる風邪。
朝起きた時に、咽がイガイガと痛い。
これは放っておくと、風邪へと移行していく可能性があります。
特に気を付けて頂きたいのが、副鼻腔炎や上咽頭炎などの上気道の慢性炎症にて治療中の方々。
咽の痛みは放っておくと厄介です。そこから炎症が波及すると、落ち着いていた上気道の炎症がすぐに悪化します。
この風邪の理由も、夜間と朝との急激な冷え込みによるものです。
睡眠中に吸っている空気が乾燥し、冷えてくる。これによって粘膜の血行が一時的に悪くなり、咽の炎症を起こしやすくなります。
寝ている時に呼吸を止めるわけにはいきません。そのため咽が痛いと思ったら、即座に対応することが大切です。
以前のコラムでも解説しましたが、桔梗湯や銀翹散がお勧めです。
なければ大根ハチミツでも良いでしょう。熱い湯をゆっくりと飲み、咽を温めるだけでも緩和することがあります。
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その他にも急激に冷え込むことでの胃痛・腹痛・便秘・下痢。
さらに下半身の冷えにより悪化する慢性膀胱炎・間質性膀胱炎など。
最近の冷え込み、大丈夫かなぁと、少し心配に想う患者さまが何人もいらっしゃします。
また暑くもなるようです。今日はやや、蒸し暑さが戻りました。
ただしその分、寒暖差は強くなるでしょう。
日中が暑い日ほど、夜間との差が生まれて症状が出やすくなります。
この夏、調子が調い、漢方治療を卒業できた方が何人かいらっしゃします。
どうか、この「秋」が気持ちの良い季節となりますように。
終了した直後の悪化とならないようにと、ぜひとも願うばかりです。
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◇養生の実際・秋 ~夜間の冷え込みと悪化しやすい症状~
◇養生の実際・秋に起こりやすい症状 〜咽(のど)の痛みとその予防〜