続・この春、最後のあがき。

2021年04月20日

漢方坂本コラム

先日ご来局された患者さまのお話を一つ。

足の痛みで治療されていた患者さま。

体格の良い、若い男性です。

足の痛みは順調、しかしここ数日、胃がはって苦しいとのこと。

こみあげるような感じがあり、食事もあまり入らないとのことでした。

私はそれを聞いてピンときた。

いくつか症状を確認すると・・・やはり。確信に変わりました。

「ここ数日、どこかで寒い思いをしませんでしたか?」と聞くと、

「しました。子供の入園式で、寒い中ジャケット一枚で凍える思いをしました。」と教えてくれました。

早速その場でお薬を作ってお出しし、

すぐにお腹の状態は緩和されました。

しかし私は、こりゃまずいぞと感じました。

この方以外にも、調子を悪くされている患者さまが絶対にいらっしゃると思ったからです。

先日、「この春、最後のあがき。」なんてコラムを書いた私。

でもごめんなさい。全然、最後ではありませんでした。

ここ最近の急激な冷え込み。

この思いがけない急激な寒波に、体調を崩されている方が絶対にいらっしゃるはずです。

すでに何人ものお顔が浮かびます。

あの方も、この方も、胃やお腹の調子を崩しているのではないか。

非常に心配になりました。そしたらやっぱり。

その後、調子が悪いとのお電話を、多くの方から立て続けにいただきました。

治療において、先入観は命とりです。

だからすべてが天候のせいだと、片付けることはある意味で安易に過ぎます。

しかし「同時期に・まったく別の症状を治療している患者さまから・同じような不調のお問い合わせが・立て続けに増える」という現象、

これを説明するためには、「皆さまに・等しく侵襲している刺激によるもの」だと考えざるを得ません。

やはり、天候による影響を無視することはなかなかできないのです。

そして今回の急激な冷え込み、

もともと体格の良い、お腹があまり冷えることのない患者さまにさえ起こっている。

であるならば、もともと胃腸に弱さや敏感さを抱えている方や、

月経痛や下腹部痛や末端冷え性などの血行障害を抱えておられる方では、

如実に乱れるはずです。急激な冷えにより、症状もまた急激に悪化の波を受けてしまうはずです。

胃痛・胃もたれ・胃の張り・腸の張り・腸の痛み・便秘・下痢。

下腹部痛・月経痛・末端の冷え。

そして冷えからのノボセ・皮膚症状の悪化。食欲不振や疲労倦怠感に至るまで。

さまざまな症状が悪化する。

「急激に」冷えるという点が、非常に困りものなのです。

ただし、対応は可能です。

人それぞれ、その方法は異なりますが全力で対応していきます。

そして、天候は必ず変化します。

だからそれほど心配されなくても問題はありません。

毎年言っている気がするのですが、

今年の春は、厳しいなぁ・・・。

寒の戻りかんのもどりにしても、これは強すぎる。

そして今日からは、

今度は急激に気温が上昇するらしい・・・。

この春、最後のあがき。で、あって欲しいです。

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※コラムの内容は著者の経験や多くの先生方から知り得た知識を基にしております。医学として高いエビデンスが保証されているわけではございませんので、あくまで一つの見解としてお役立てください。

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