漢方治療において、最も治療の難しい人間は「自分」です。
自分自身。これを捉えることが、一番難しいです。
漢方家は大抵、自分で漢方薬を服用していますが、
人のことは分かっても、自分のことは分かりにくいというのは漢方家のあるあるです。
雑多な情報があり過ぎるのか、こうしたいという欲求が強すぎるのか、
とにかく客観視って、難しいなと感じます。
漢方治療では、人体の傾向を感覚的に捉えなければならない側面が少なからずあって、
そのためには、意識を一旦自分から切り離して、他の方々と同列で比較しなければなりません。
そういう自分への客観的視点を持つことを、かなりシビアにやらなければ、
「自分」とはいったいどんな人間なのかを、東洋医学的に把握することが出来ません。
あと、家族もそう。
家族のことも、客観視することがとても難しい。
名医・尾台榕堂でさえ、自分の娘を浅田宗伯に診てもらったという逸話があります。
適切な距離間、これこそが客観的思考には必要で、
そういう冷静な目で自分を観る、近しい人を把握するというのは、言うほど簡単なことではないようです。
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私は患者さまとのご相談にあたって、
投薬前に必ず、お身体の状態を説明します。
そこに納得が生まれなければ、治療は難しくなります。
同じ目標を一緒に見ていくことが、治療では必須になるからです。
その説明の際、患者さまの中には、なるほどなと感嘆されたり、安心されたり、時には涙を浮かべる方もいらっしゃいます。
そういう患者さまを目の当たりにするたびに私は思うのです。
患者さまは「治りたい」ということの前に、
「自分の体を知りたい」というお気持ちがきっとあるのです。
いったい自分の体に何が起こっているのか。
不快な症状があるのにも関わらず、病院では問題が無いと言われ続けてしまう。
問題が無いのだから良いじゃあないかと、そう言われてしまう患者さまもいらっしゃるそうです。
良いはずがありません。症状はあるのです。
問題が無いのではなく、見つけることが出来ない。そう感じる事のほうが、至極当然だと思います。
治療とは、やはり病態の認識と理解、その上で同じ方向を観ながら、目標に向かっていけるかどうか。
単に漢方薬を飲めば治るというやり方は論外です。
患者さまご自身が、お体の状態を理解することのできない治療に、治癒への推進力はない。
というのが私の持論、なのですがこれは本当のことだと思います。
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とはいえ自分の体のことは本当に理解できず。
特に体調が悪いというわけでもないのですが、体質的傾向を掴むことさえも難しい。
おおよそは分かります。多分、こっち系だろうなと。
でもあっちかも知れないし、はたまたそっちかも知れないし。。。
自分探しの旅は、まだまだ先が長そうです。
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