養生と薬

2020年11月28日

漢方坂本コラム

昨日の出来事。

ある患者さまがご来局されました。

以前、病院では問題ないよと説明された症状、

しかしながら、昔からずっと気になっていた症状のご相談でした。

詳しくお体の様子を伺うと、確かに改善するべき要所が見て取れました。

ただしそれは、決して薬で治療すれば良いという問題ではありませんでした。

生活の中に、明らかに改善するべき点がある、それを直せば、自ずと症状が緩和されていく可能性が高かったのです。

私はそのことをご説明しました。患者さまにもご納得して頂けたと思います。

終始うんうんと頷きながら話を聞いてくれた患者さまは、

最後に「こんな相談をするような人もいますか」と、少し恥ずかしそうにご質問されました。

大丈夫ですよ。

たくさんおられます。

お薬が必要なのかどうか、私はいつも必ずそこからご説明しています。

薬ではなく、養生だけで改善していく方もたくさんいらっしゃる。

患者さまと向き合っていると、そういう現実もたくさん、たくさん経験するのです。

症状や病の軽重に関わらず、漢方薬にはそれを必要とするタイミングみたいなものがあって、

例えばそれは、養生より先に薬が必要になる場合もある。しかし、養生と同時、もしくは養生の方が先ということもたくさんあるのです。

漢方薬を服用することだけが漢方治療ではないと、私は思います。

きれいごとかも知れません。でもそれが現実だから仕方ありません。

薬だけで治そうとるすのは半人前。

私は以前、そういう教えを受けました。そして今は、臨床を通してそれが「正しい」と断言することが出来ます。

たかが養生。されど、養生。

自分が本当にするべき養生を見つけることは、とても難しいことです。

がんばってくれるかな。とても大変なことだと思います。

今まで当たり前のようにやってきたこと、それをあえて意識しながら生活しなければなりません。

でも、意識できるようになったら、それだけでも違うと思います。

ゆっくりでもいい。一つ一つ変化させてみて欲しい。

養生の本質はまずトライしてみること。

そしてそれが正しいかどうかを、自分自身で感じてみることです。

もしそれでも上手くいかなかったら、是非もう一度、ご来局を。

漢方薬の服用を含めた、様々な角度から次の一手を検討させてください。

【この記事の著者】店主:坂本壮一郎のプロフィールはこちら