2022・甲府より感謝を込めて

2022年12月31日

漢方坂本コラム

2022年、年末。

ここ甲府では、おだやかで心地よい天気が続いています。

当薬局は28日からお休みを頂き、

一年の総括、毎年恒例のカルテ整理に勤しんでおります。

振り返ると、

やはり「感謝」という言葉が真っ先に浮かんでくる令和4年。

毎年そう思うのですが、今年もやはりそう。

カルテに記載されているのは、単なる情報ではなく、

映像として浮かんでくる、リアルな物語です。

辛そうなお顔だったり、不安そうなお声だったり、

そして時々垣間見れる笑顔や、さらに目から溢れる涙に至るまで。

お一人お一人との生きたやり取りが、カルテにはあります。

私にとってカルテは、患者さまから頂いた宝のようなもの。

ありがとうございます。一年間積み重ねられた、大切な経験です。

治療というものは、いつだって患者さまの努力に支えられている。

前からお話しているこの事実は、カルテ整理を通して如実に感じられます。

仕事や育児・家事と大変お忙しい中、わざわざ時間を作って来ていただいている患者さま。

毎月電車やお車を使い、わざわざ遠くから足を運んでくれている患者さまたち。

お会いすることのできない電話相談であっても、私の言葉に耳を傾け、努力を続けてくださっている皆さまがいる。

そういう一つ一つの尊い努力が、

客観的に考えて、感謝しかないのです。

きっと、健康な人であったならば、

これらはするはずのない努力、だったのかも知れません。

しかし自分の体と向き合う努力を続けたという経験は、

きっとこれからの人生に、大きな価値を与えてくれると思うのです。

人はもっと、自分の体を知るべきだと思います。

自分にこそふさわしい養生、情報に流されない知恵を実感する。

そういう価値が、もし体調を崩したからこそ得られるのだとしたら、

今、続けて頂いている努力は、きっと価値あるものだと私は思うのです。

私と患者さまとの出会いは、いつだってマイナスから始まっています。

病への落胆や不安、症状への不快感や耐え難さ、

始めはそういう辛さを、必ず伴っています。

治療とは、そのマイナスをゼロに戻していく道のりではありますが、

ゼロに戻ったとしても、それは決して最初に戻るわけではないと思います。

病を得ていなかった最初の頃よりも、ずっと多くのことが知れたはずです。

病を得たからこそ知れることが、たくさんあったはずです。

きっと、辛い症状を全く経験していない方よりも、たくさんの価値を見つけられるのではないでしょうか。

これは、そうであって欲しいという私の希望ではなく、

患者さまたちの経験です。実際に今までの患者さまたちが、そうおっしゃっていたことなのです。

人と病。病と治療。

患者さまたちの人生、その物語の重要な時に、

私を登場させて頂いて、本当にありがとうございます。

ここ数年、今まで見えていなかったものが徐々に見えるようになってきました。

漢方の道は深く、険しい。その中でも一歩ずつ、治療のコツのようなものが見えてきたような気がします。

しかしまだ足りない。もっと深く、そしてもっと正確に。

私にできることを、一つでも多く増やしていきたい。

そして私が今、皆さまへの感謝の気持ちが溢れるように、

私も皆さまに感謝していただけるように、日々精進して参ります。

2022年、最後のご挨拶。

皆さま佳いお年を、是非ともお迎えください。

そしてまた来年、皆さまのお声が聞けるのを楽しみにしております。

ウサギがぴょんぴょん跳ねるように、

元気で楽しい年にしたいですね。

甲府より、感謝を込めて。

大きな大きな、感謝を込めて。



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※コラムの内容は著者の経験や多くの先生方から知り得た知識を基にしております。医学として高いエビデンスが保証されているわけではございませんので、あくまで一つの見解としてお役立てください。

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