■症例:帯状疱疹後神経痛

歳を重ねてもなお、品を感じさせる女性だった。

70代。

約一月前から抱える痛みを、静かに語られた。

帯状疱疹を発症したのは、忙しい年始を過ぎたころの1月後半。
疲れとともに発生した発疹は、1週間ほどで治まってきた。

しかし痛みが残ってしまった。そして西洋薬を服用しても取れることがない。

患部を見させていただいた。
治まったと言われた皮膚表面には、まだ治りきらない瘢痕が残っていた。

ご家族のために体調を押して年末・年始を過ごされたのだろう。
誇張せず控えめに語られてはいるが、その分痛みの程度は強いものと推測できた。

この場合、まずしなければいけないのは、虚・実の判定である。

それを色々な角度から診ていく。
食欲はある。お腹もすくし、ちゃんと食べられている。
身体細く、小柄である。
患部を冷やすと痛みが強くなる。
若い頃は冷え性だったが、近年は夜間に手足が熱くなる。

これらの情報は、一般の方から見たら、荒唐無稽なものに見える。
しかし帯状疱疹後神経痛を改善する上で、重要な情報である。

配分が的確だったことは、14日後の来局時にわかった。
笑顔で来局されたことが、とても嬉しかった。

一月でだいぶ良くなった。二月後には患部に引きつりを感じるのみになった。

漢方治療中に体調が良くなると、気持ちが晴れやかになり、
しばしば見違えるような笑顔を見せてくれることがある。

この方には初診時、品の中に沈むような気落ちがあった。
しかしこの頃には、品の良さが花開いていた。

三カ月後、痛みが完全に消失。
私は配薬を検討したが、服用していると体調が良いという本人の希望で、今も少しづつ投薬を続けている。

■病名別解説:「帯状疱疹後神経痛