■症例:帯状疱疹後神経痛

By 2019年7月12日 コラム

歳を重ねてもなお、品を感じさせる女性だった。

70代。

約一月前から抱える痛みを、静かに語られた。

帯状疱疹を発症したのは、忙しい年始を過ぎたころの1月後半。
疲れとともに発生した発疹は、1週間ほどで治まってきた。

しかし痛みが残ってしまった。そして西洋薬を服用しても取れることがない。

患部を見させていただいた。
治まったと言われた皮膚表面には、まだ治りきらない瘢痕が残っていた。

ご家族のために体調を押して年末・年始を過ごされたのだろう。
誇張せず控えめに語られてはいるが、その分痛みの程度は強いものと推測できた。

この場合、まずしなければいけないのは、虚・実の判定である。

それを色々な角度から診ていく。
食欲はある。お腹もすくし、ちゃんと食べられている。
身体細く、小柄である。
患部を冷やすと痛みが強くなる。
若い頃は冷え性だったが、近年は夜間に手足が熱くなる。

これらの情報は、一般の方から見たら、荒唐無稽なものに見える。
しかし帯状疱疹後神経痛を改善する上で、重要な情報である。

配分が的確だったことは、14日後の来局時にわかった。
笑顔で来局されたことが、とても嬉しかった。

一月でだいぶ良くなった。二月後には患部に引きつりを感じるのみになった。

漢方治療中に体調が良くなると、気持ちが晴れやかになり、
しばしば見違えるような笑顔を見せてくれることがある。

この方には初診時、品の中に沈むような気落ちがあった。
しかしこの頃には、品の良さが花開いていた。

三カ月後、痛みが完全に消失。
私は配薬を検討したが、服用していると体調が良いという本人の希望で、今も少しづつ投薬を続けている。

■病名別解説:「帯状疱疹後神経痛