片頭痛は当薬局でもご相談の多い疾患である。
50歳代の女性。
発症は四年前だった。
はじめは三カ月に1回だった痛みが、ここ一年くらいは一か月に1・2回起こる。
発作時は光や音で痛みが悪化する。ひどいと吐き気が起こる。典型的な片頭痛である。
患者さまたちの話を聞くと、片頭痛とは何と激烈なものかと思う。
少なくとも生活に支障がでる。ひどいと死の恐怖感さえ伴う。
なるべく迅速に軽減させることを、常に意識しなければいけない疾患である。
この方は病院で「呉茱萸湯(ごしゅゆとう)エキス顆粒剤(粉薬)」を出され、服用していた。
片頭痛は良くならない。しかし常習的に続いていた慢性頭痛はそれで取れたのだという。
詳しくお体の状態をうかがった。
それほど迷うことなく回答が出る。
適応処方は、間違いなく「呉茱萸湯」である。
つまり、すでに病院では回答を導き出していた。
しかし片頭痛には効果がなかった。なぜか?
その答えは明白。エキス顆粒剤では薬力が不足していたからである。
私は「呉茱萸湯の煎じ薬」を出した。
そして、ちょっとした煎じる時のひと手間も伝えておいた。
服用後すぐに体が温まる感覚を受ける。
そして深く眠れるようになったという。
片頭痛の程度が減ったことは、服用後10日で自覚する。
具体的には必ず起こる排卵日での片頭痛が、かなり楽だったという。
目下治療中である。この方の片頭痛はさらに良くなると考えている。
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煎じ薬とエキス顆粒剤、
両者の違いはこんなところに出る。
どちらが良い、というわけではない。端的に言えば効けば良い、と思っている。
ただし、両者では使い方が全く異なるということもまた事実。
漢方治療をお求めになる方は、煎じ薬とエキス顆粒剤とは別物だということを知っておいて欲しい。
●煎じ薬・・・生薬を鍋に入れ、水にて煮ることで作られる煎じ液を服用する薬。40分から60分ほど煎じなければならないため手間がかかる一方、その効果はエキス顆粒剤(粉薬)の1.5倍から2倍と言われている。実際の臨床においても、両者には明らかな効果の違いが見て取れることが多い。
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■病名別解説:「頭痛・片頭痛」
〇その他の参考症例:参考症例