○漢方治療の実際 〜この漢方薬、本当に効果ある?と感じられている方へ〜

■多くの医療機関で採用されている漢方治療

医療機関にかかり漢方薬を処方された・・・でも、果たして効くのだろうか?そうお悩みの方から多くのお問い合わせを頂きます。辛い症状にお悩みの方々にとって、漢方薬は興味はあるけど半信半疑でもある、そんな薬ではないでしょうか。

近年、多くの医療機関で漢方薬が処方されるようになってきました。通常先生方は効き目と副作用とを十分に勘案しながら薬を出しています。そんな中、比較的副作用が少ないという解釈から、穏やかな効き目が期待されて漢方薬が選ばれるようになったのではないでしょうか。もしそうであるならば、先生方にとっては漢方薬はある意味で使いやすい薬であるとも言えそうです。西洋薬を使う前に、患者さまの負担にならないように漢方薬を使ってみよう、そういう配慮が漢方薬の頻用傾向に表れているのかも知れません。

■漢方治療への疑問と不信感

ただし、患者さまにとっては効果を発揮してくれる薬でないと困ります。西洋薬を飲むのは怖いけど、漢方薬で改善するのだろうか・・そんな気持ちの中で処方された漢方薬を飲み続けている患者さまから、お問い合わせを多く頂きます。

今〇〇湯を服用しているのですが、これは本当に私に合っているのでしょうか?

お電話にてこのようなご質問を受けることが多々あります。漢方治療に疑問を持たれれている方にとっては当然のご質問だと思います。ただ正直に言えば、これはお答えすることが非常に難しいご質問です。それにはいくつかの理由があります。

■漢方治療の特殊性・患者さまが混乱してしまう理由

まず第一に漢方薬は、各先生方によって使い方が変わります

例えば「半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)」という処方の使い方に長けた先生は、この処方を効果的に使う術(すべ)を熟知されています。一般的な半夏厚朴湯の適応とは全く異なる使い方をしているにも関わらず、上手に効果を引き出して病を改善してしまうことが可能なのです。つまり漢方治療は各先生方によって処方運用の正解が全く異なってきます。先の質問に対して、もし私がその薬は合ってないのではないかと思ったとしても、出した先生にとっては正解であり、かつその処方で実際に改善していくことがあるのです。

次に漢方は、各先生方によって病の治し方が変わります

治療得手の先生ほど、病の治し方に道筋を立てられます。しかしその道筋には、基本的に定まった回答というものがありません。各病に対して治し方の基本は当然あります。しかし漢方治療には共通したガイドラインというものがほとんどなく、その手法は各先生方の経験に委ねられているというのが現状です。したがって現在服用している処方が〇〇湯であったとしても、それはその先生が描かれた道筋の中の一部であり、何故その処方を使われているのか、それが正解なのかは、出している先生以外には判断し切れないところが大きいのです。

さらに漢方薬は、名前が一緒であっても効能が異なるということが当然のように起こります

漢方薬はエキス顆粒剤なのか煎じ薬なのかで、効能が全く異なります。エキス顆粒剤で治らなかった症状が、同じ処方名の煎じ薬を服用したら改善したということが普通に起こります。さらに同じ名前のエキス顆粒剤であっても、出しているメーカーによって効能が異なります。その製法や入っている生薬の種類が異なるためです。もっと言えば、生薬という生きた薬を使っている以上、どの時期のどこで採れた生薬を使っているかによっても効能が異なってきます。漢方に精通された先生ほど、漢方薬が有機的な薬だということに心を砕きます。産地・管理にこだわって生薬を取り寄せ、またメーカーに問い合わせながら使う漢方薬を決められているのです。

■自分に合った漢方薬かどうか・それをどう判断するのか

このように、患者さまが現在自分自身に合った漢方薬を服用しているのかどうかは、様々なことを勘案しないとその正否を判断することができません。セカンドオピニオン(別の治療者に求める第二の意見)は的確な治療を選択し、スムーズに改善へと向かうためにとても重要な指標です。ただし漢方治療においては、自らの治療方法を述べることはできますが、他の治療者が行なっていることの正否を判断する事が難しいという側面があります。

こういった状況は、漢方が本質的に抱えている「曖昧さ」に原因があるのではないかと、私自身は考えています。しかしたとえ曖昧さを内包してたとしても、時に素晴らしい効果を上げることが出来ることもまた事実です。患者さまにとってはこの曖昧さをなるべく排除し、納得した上で漢方治療を受けたいところです。ではそのためにはどうしたら良いのでしょうか?

全ての治療において言えることですが、特に漢方治療においては治療者と患者さまとの意思の疎通が全てです。お体がどのような状態にあるのか、そし今現在服用されている漢方薬にはどのような薬能があるのか、さらに効果判定までにはどのくらいの期間服用することが必要か、またそれで効果が感じられない場合その後どのようなアプローチをしていくのか。こういった説明があり、さらにそれに納得出来ている状態でなければ、漢方治療をスムーズに進めていくことはできません。

もし現在行なっている漢方治療に疑問を持ち、このお薬が本当に自分に合っているのだろうかと感じられたら、以下の項目をご自身でチェックしてみてください。その上でもし分からない点があったら、思い切って漢方薬を出してくれた先生に尋ねてみましょう。そしてそのご返答にご自身が納得されたのなら、それは正しい治療が行われているということです。

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<正しく行われていますか?漢方治療チェック項目>

次の内容を理解されているなら、正しい治療が行われていると思います。

○現在服用中の漢方薬は、何の症状を改善しようとしているのか。
○どれくらいの期間の服用で効果を判定するのか。
○もし効果を感じられなかった場合、その後どのような治療が用意されているのか。

さらに次の内容も理解されているのなら、現在とても良い先生におかかりのはずです。

○東洋医学的にお体がどのような状態にあるのか。
○現在服用している漢方薬で、なぜ体調が良くなる可能性があるのか。
○お薬を服用すること以外に、生活の中で気をつけないといけないことは何か。
○もし効果を感じられた場合、どのくらいの期間漢方薬を服用することが必要なのか。