飼い猫のお萩が膨らんできました。
冬毛です。
朝・夜と急激に冷え込むようになってから、
温かいからか、朝食中に膝に乗ってくるようになってきました。嬉しい。
猫というのは不思議なもので、
寒いだろうと、毛布をかけようとすると如実に嫌がります。
既に毛皮のコートを着ているようなものなので、上からの冷気ではそれほど冷えないのか。
確かに肉球に毛は生えていないので、
手足は冷えるのでしょう。私の膝の上で、香箱座りがお決まりのスタイルです。
さて、今年の冬は長い、というのが私の予想です。
例年に比べて寒くなる時期が早い気がします。
去年の今頃は、まだまだ温かい日があったような。
人というのは、寒いならずっと寒いほうが、体が冷えにくくなるものです。
急激に冷える時のほうが、体は冷えます。そのため、今時期の寒くなり始めは、冷えによる症状が顕著に表れてきます。
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代表的なものに「しもやけ」があります。
比較的女性に多く、指が冷えて腫れ、痛くなったり痒くなったりします。
冷えるからと暖房で温めると、逆に痒みが強くなります。
なかなか治らず、毎年お困りになっている方も多いのではないでしょうか。
「しもやけ」は、正式には「凍瘡」といいます。
冷たい外気が体に侵襲し続けた結果、起こる局所の病変を「凍傷」といいますが、
「凍瘡」はこの軽いもの(第Ⅰ度:紅斑性凍傷)と位置付けれているようです。
ただし、「凍瘡」と「凍傷」とは基本的には違うものだと、山本巌先生は述べられています。
「凍傷」は、一定度以上の低温が作用した際に例外なく誰にでも起きます。
しかし「しもやけ(凍瘡)」はやや趣が異なり、それが起こりやすい体質、というものがあります。
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山本先生は、これを瘀血体質と述べられています。
冷えによって静脈血がうっ血を起こしやすい者ということで、要するに、指先の血液循環が悪い人に起こるということです。
瘀血というのは概念として非常に広く、そして特定することが難しい病態です。
しかし確かにしもやけは、駆瘀血剤を服用し続けている方に起こりにくくなる傾向があり、そういう意味で、山本先生の見解には一定の正しさがあると感じています。
ただし難しいのは、しもやけがすでに起こっている状態においては、駆瘀血剤では治らないという点です。
しもやけを治していくためには、それ相応の治療が必要になります。例えば駆瘀血剤として有名な桂枝茯苓丸を服用したとしても、出来上がったしもやけはなかなか治りません。
人は、百人いれば百通りの血流状態があります。
誰一人として、同じ流れ方をしておらず、そこに個人差があるからこそ、誰一人として同じ体の人はいないのだと私は考えています。
つまり、しもやけを改善する際も広い視点で体を捉えなけばなりません。
当帰四逆加呉茱萸生姜湯・三物黄芩湯あたりは基本中の基本ですが、
それ以上に詳しく状況を確認しなければなりません。特に出来ているしもやけを改善する場合と、しもやけを起こりにくくする場合とでは治療方法も異なってきます。
これを飲めば治るよ、と言えないところが実に悩ましい所です。正直、そういう薬があった方がずっと、皆さまにはうれしいことだと思うのですが。
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そこで今回は、簡単にしもやけにならないための養生をお話ししておきます。
しもやけを起こしにくくする養生。できれば、なってしまう前に実践していただきたい養生です。
まず最初が、「防寒」。
当然です。末端を冷やさないように、今時期からなるべく気を付けてください。
血流というものは、寒ければ寒いなりに、体が自然と流れを良くしようとするものです。
最も気を付けなければいけないのは、急激に冷える時。夜間や朝に急に冷え込むという時ほど、とにかく末端を冷やさないように気を付けましょう。
次に気を付けていただきたいのが、「締めつけを避ける」ということです。
ありがちなのが、パンプスや先の細いブーツを履くことで起こるしもやけ。
冷たい上に、さらに自分で締め付けてしまうことで血流が悪化します。特にしもやけは一度できてしまうとしつこく残ります。
仕事でパンプスを履く時には、休憩中に脱いでおくとか。締めつけを予防するよう心がけてください。
そして末端の「汗の対処・湿気を避ける」ことも大切です。
皮膚は湿気を帯びていると、乾いている状態よりずっと冷えやすくなります。
靴の中では、一日でだいだいコップ一杯ほどの汗が出ているそうです。靴を脱いで汗を拭きとるなど、汗への対応を心がけてみましょう。
最後に、足だけではなく「体内を冷やさない」ということも大切です。
寒い冬になると、誰しもが手足が冷たくなります。寒い場所で全く冷えない人はいないでしょう。
ただし、体の中が冷えている人とそうでない人とでは、手足の冷え方も各段に違ってきます。
とくに消化管を冷やさないことが大切です。食事は暖かいものを基本として、アイスや冷水などはあまり口に入れないように。残暑に果物で胃腸を冷やしていた傾向のある方ほど、この時期に末端の冷えを起こしやすくなるものです。
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しもやけは、確かにそれを起こしやすい体質があります。
言葉で表現することは難しいのですが、見た時に「あぁ、この人はしもやけがおきそうだな」と想起できる方が確かにいらっしゃいます。
そういう方ではいくら養生を気を付けても、毎年しもやけが起こってしまうものです。
その場合には、ぜひ漢方治療を試してみてください。西洋医学に比べても、たくさんの手法が漢方には用意されています。
かく言う私も、最近の急激な冷え込みで、だんだんと指が冷えてきました。
猫のように、もふもふのお腹に自分の手を隠せればいいのですが、
残念ながら私の毛量はそこまで豊富ではありません。
だからお萩の冬毛をちょっと拝借。お腹に指を滑り込ませて暖を取ります。
私もいつか冬毛をまとってみたい。猫になってみたい。
どのくらい温かいのだろう。。。
それが分からないうちは、お萩に毛布をかけてあげたくなってしまいます。
が、即座に逃げられます。
猫と毛布。
見ているだけで暖かい、抜群の組み合わせなのになぁ。。。
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