起立性調節障害は治る病です。
的確な治療によって治る病ですし、
もし治療によって改善が見られなくても、大人になりさえすれば、必ず治っていく病です。
と一般的には、言われています。
治る病だというのは、確かにそうです。
的確な治療が行われた時、迅速に改善へと向かっていく患者さまも沢山いらっしゃいます。
ただし「もし治療によって改善が見られなくても、大人になれば治る」という考え方には、
この見解にだけは、私は賛同することができません。
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当薬局にご来局された患者さまの中には、
今まで実際にそういう説明を受けていた方が何人かおられます。
「大人になれば必ず治るから大丈夫だよ。」
そう説明する意図は分かるのです。
治療には時間が必要です。時に励まし、希望を持っていただきながら、治療という道のりを進んでいってもらうことは、とても大切なことです。
しかし、大人になれば治るというのは、励ましにはならないと思うのです。
そう片付けて良い問題でもない。
成長期には無駄な時間など、一日として無いからです。
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人は何故か、そのごくごく前半に自分の体を作り上げてしまいます。
人生80年だとするならば、なぜか成長のピークが真ん中に無い。
40歳までゆっくり成長し、そこから老化するほうが自然な気がします。しかし何故か人間は、約20歳までに人生で使用する骨の大枠を作ってしまいます。
爆発的な体格の形成。それが成長期です。
人生において非常に特殊かつ、後の人生を決定づけるとても大切な時期です。
だから一日として無駄な時間はありません。この時期に体調を崩すということは、それだけ後の人生のリスクを背負っているということです。
だから早く、とにかく早く。
成長期における体調不良には、常にスピード感のある治療が求められると私は思うのです。
起立性調節障害。特にこの病は「成長に伴う消耗」という要素が色濃く反映されています。
体は成長したいのに、それが出来ない。
そういう体の悲鳴が、この病症を形成しているように見えるのです。
頭痛を取る。めまいを取る。そして同時に、その子が本来持っている成長のポテンシャルを充分に発揮させること。
起立性調節障害は、ただ症状を取れば良いという病ではありません。
その子が後の人生を充実したものに出来る体を作り上げること。そこを最大目標にするべき病だと私は感じます。
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一言に起立性調節障害といっても、
患者さまに起こっている病態は、東洋医学的にみると本当に様々です。
個人差を見極めつつ、その方に最も適した治療を行えるかどうか。
起立性調節障害では特にそれがカギになる。そして、数ある治療の選択肢の中から、最短のルートを見つけ出さなければなりません。
治療に時間は必要です。そして本人の努力も必要になる。起立性調節障害は、決して簡単な病ではありません。
しかし、大人になってからでは遅い。
人生を決定づける大切な時期だからこそ、より的確な治療を常に模索し続けていかなければなりません。
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■病名別解説:起立性調節障害