6月といえば

2022年06月01日

漢方坂本コラム

六月に入りました。

ゴールデンウィークが空けて、

普通だったら、心地よい晴れ間が続いて、

ゆっくりと気温が上昇しながら六月を迎えるはずなのに、

天候がずっと安定しないまま、六月を迎えました、、、。

春って、こんなんでしたっけ。

春めいた気候って、もっと朗らかだった気がします。

不安定な気候を得て、冬から夏へと急に切り替わる。

これからは、年々季節の趣を失っていくのかもしれません。

と、悲観的になるのもここまで。

ここからは私にとって、

気合を入れて臨まなければならない、勝負の季節です。

梅雨。

湿気が深まる季節。

毎年申し上げていることですが、

この湿気ってやつが、本当に大敵なのです。

特有の病を生じます。

そしてそれが、けっこう多岐にわたります。

湿気をはらんだ冷えや暑さ。

この不快な季節特有の体調不良を、是非とも予防していきたい所です。

細かい説明とその養生とは、

今後、ちゃんとコラムで詳しく書こうと思います。

その前に大まかなことだけお伝えしておくと、

まずは何よりも、「食事」に気を付けてください。

水分ですね。

水分摂取の「過多」です。

いつもは問題なく飲める水分量でも、

梅雨になって湿気が強くなると、お腹を壊してしまいます。

特に夏に近づくと、

毎年くどいように繰り返される「水を飲んでください」キャンペーン。

確かに咽が乾けば水分摂取は必要ですが、

飲み過ぎは禁物です。

がぶ飲みもダメ。口の中で溶かすように、一口一口ゆっくりと飲んでください。

梅雨は胃腸を傷つけやすい季節です。

下痢が起こりやすなる。単なる下痢というより、細い便がビビビッと出て、すっきりと出ない、なんとも厄介な下痢です。

当然腹痛を伴うことも多く、すっきり出ないから何度もトイレにいかなくてはなりません。

いたた、となってトイレにいっても、ビビビとしか出ない。

だからトイレにこもって踏ん張る。

がんはる。そして肛門が痛い。

それでも出ないから仕方なくトイレから出ても、

また腹が絞られて、いたたとなって、

またトイレに行くけどすっきと出ない。肛門が痛い。そんな下痢です。

胃腸を壊してしまうと、非常に厄介です。

特に困るのが、今までの治療が頓挫することです。

飲み薬という宿命をもった漢方薬は、

胃腸が壊れると、今まで行っていた治療を見合わせて、胃腸改善へと方向転換しなければなりません。

治療によって徐々に良くなってきた方が、

この時期胃腸を壊してしまったために、治療が長引くということが良くおこります。

せっかく良くなっていたのにと、臍(ほぞ)を噛む思いです。

だから毎年先手をうって、こうやって皆さまに梅雨の怖さをお伝えしているのです。

私自身は、

実は「梅雨」が好きです。

胃腸は弱いほうなのですが、

梅雨特有の、アンニュイな雰囲気に、ちょっとだけグッとくるのです。

昔パリに行ったとき、

当時は大気汚染がすごくて、空気が悪かったのだけれども、

それでも石畳と石の家、曇り空とパラつく雨の色は綺麗でした。

グレーに染まる世界。

哀愁があって、私は好きです。

だから梅雨には、他の四季にはない美しさがあると思うのです。

でも、そう感じることができるのは、あくまで体調が良いからの話。

自分も水を飲み過ぎて、もしくは果物を食べ過ぎて、

困った梅雨特有の下痢に、悩まされることはあります。

そんなときは、梅雨なんて、と思うのですが、

それでも体調が良い時の梅雨は、本当は心地よいものです。

雨の恵み。

大地に滲み込む豊かさ。

梅雨だって、本当は自然にとって必要なもの。

人間だって自然の一部なのだから、

準備さえしっかりしておけば、

心地よく、梅雨を迎えられるはずなのです。



〇参考コラム
◇養生の実際・夏バテ対策編1 ~はじめに~

夏だからこそ気を付けたい「水の飲み方」

梅雨が始まる

【この記事の著者】店主:坂本壮一郎のプロフィールはこちら

※コラムの内容は著者の経験や多くの先生方から知り得た知識を基にしております。医学として高いエビデンスが保証されているわけではございませんので、あくまで一つの見解としてお役立てください。

※当店は漢方相談・漢方薬販売を行う薬局であり、病院・診療所ではございません。コラムにおいて「治療・漢方治療・改善」といった言葉を使用しておりますが、漢方医学を説明するための便宜上の使用であることを補足させていただきます。