2025年もいよいよ終盤に差し掛かり、
残すところあと数日となりました。
当薬局は昨日で本年の営業を終了しております。
毎年言っていますが、今年も早かったですね。あっという間でした。
ただし患者さまとのお話は沢山記憶に残っている。そんな充実した一年でもありました。
そしてこれから先、向き合わなければならない課題に直面する一年でもありました。
多くのものを得た一年、ですがそれを捨てて新たに生み出さなければいけないという反省もあります。
今日はそんなことを考えながら行う毎年のカルテ整理。
一年の総括を込めて行う年末の恒例行事です。
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昨年末もお伝えしましたが、
やはり今年は、天候との勝負を強いられる一年になりました。
心地よい日があまりにも少なかった。
極端な暑さと湿気、そして長引く前線と急激な気温と気圧との変化。
とにかく不快に感じる日が本当に多かったという印象です。
特に夏の暑さ、そしてその暑さと湿気とが10月後半まで長引く秋雨前線には、
治療としてはかなり苦しみました。自律神経が大きく乱れて体調を崩される方が激増したからです。
当薬局では病院にて自律神経が乱れていると言われてしまった方がたくさん来られます。
自律神経失調は西洋医学では的確な治療を行うことが難しい、故に患者さまは漢方などの代替医療に頼らざるを得なくなります。
そして漢方治療では自律神経の乱れに対応していくことが可能です。
症状が消失する方も少なくない。ただしここで問題になるのが、自律神経の乱れは天候の波によって悪化するという点です。
つまり自律神経の治療において、天候の波は治療時間を長引かせ、改善の実感を乏しくさせて、患者さまの不安や焦りを逆なでする。
そういうもう本当に、本当に、厄介な存在なのです。
そして温暖化の影響を受けて昨今、特に気圧と気温の波はその勢いを増している。
案の定、今年も酷かった。春の梅雨前線、夏の台風、秋の秋雨前線、冬の寒波、
そのたびに体調を崩す方が必ず出てしまいます。
今年もそういう不安定な波の一つ一つが、カルテに記載されています。
それを見ていると、うん、やはりこれはどうにかしないといけないと思うのです。
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東洋医学ではそれが発祥した当初からすでに、人が天候の波によって病を得るこを明確に示しています。
そしてその治療方法も当然示されています。「寒」に対する人参湯や五積散、「湿」に対する平胃散や防己黄耆湯、「暍」に対する白虎加人参湯や清暑益気湯など、長い歴史の中で編み出されてきた処方たちが沢山存在します。
しかしこれらの薬ですべからく対応できるかというと、それは無理です。使える薬もある、という程度。基礎的理解だけで対応できるほど、昨今の天候の波は生易しいものではありません。
したがってどう対応していくのかを各治療家が考えていかなければなりません。私もここ数年はずっとその対応方法を見出している最中という所です。
そしてある程度分かってきたこともあります。それを患者さまにお試しいただき、良い結果を得ることも増えてきました。
ただし今年はさらにその方法に再考の余地があることを感じています。
特に夏。湿気への対応。
温暖化による体調への影響は暑さである前に湿気です。外からの湿気に負けない体をいかに作っていくのか、その点についてより深く想いを巡らせなければいけない、と今年は痛感しました。
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そこで実感として言えることが一つあります。
この湿気に負けない体つくりのための治療においては、
おそらくエキス顆粒剤では無理があります。多分、エキス剤では相当難しいと思います。
簡易的に作られたエキス顆粒剤ではなく、本来の漢方薬である煎じ薬(もしくは散剤)で対応する必要がある。
それを痛感しています。場合によってはエキス顆粒剤でもいけますが、
そういう薬は非常に局所的。全体を見て通せば、煎じ薬ではないととてもじゃないけれども対応していけないでしょう。
この前、生薬メーカーの方とお話した際に伺ったのですが、
最近ではもう煎じ薬を扱う医療機関が非常に少なくなっているそうです。
生薬メーカーさんにとってもこの先死活問題になり得る。
そのためどうにか煎じ薬を扱う医療機関が増えるよう、教育や啓蒙を広げていきたいとおっしゃっていました。
煎じ薬は扱わず、エキス顆粒剤のみを扱う漢方の医療機関が増えている。
その理由にはざまざまあって、例えば煎じ薬は毎日手間がかかるので患者さんが嫌がるとか、煎じ薬はかさ張るので在庫するのが難しいとか、保険診療においては生薬の値段が決められてしまうので良い生薬をなかなか使えないなど、法的・営業的な問題が挙げられます。
ただ生薬メーカーさん曰く、一番の理由は医療従事者の問題、すなわち「煎じ薬を扱えるほど漢方に詳しくない」のだそうです。
エキス顆粒に比べて、確かに煎じ薬は東洋医学の深い知識が求められます。
漢方という世界が教育という意味でも大変稚拙であることを物語っていると感じます。
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来たる令和8年。
刻々と変化するこの令和において、
漢方がこの先も生き残り、医療において意味のあるもので今後も居続けるために。
今年は改めてその課題を実感しました。
今後も続くであろう天候の波、そこにどう対応していくのか。
漢方という医学が正しく、かつ深く医療に根差せるように。
甲府という大変小さな町の、小さな薬局の店主ではありますが、
私にできることを、今後も一歩一歩と邁進してまいります。
藁をも掴もうとする方々がいる。
そしてその藁で救われる方々がいらっしゃる。
そうである以上、漢方は生き残らなければなりません。
流行る必要はない、しかし無くなってはいけない。
漢方とはそういうものであるという、当薬局の理念を忠実に守っていきたいと思います。
今年一年、たくさんの患者さまにお会いすることができました。
遠くの小さな薬局にわざわざお問合せいただく方もいらっしゃいました。
そしてわざわざ足を運んでいただいた方もいらっしゃいました。
すべての皆さまに、深く深く、感謝いたします。
そして皆さまにとって意義のある治療をご提供できるよう、
常に課題に取り組みながら、これからも日々尽力させていただきます。
来る年・令和8年、
来年もまた皆さまの元気なお声を聴かせていただけますように。
祈りながら年を越そうと思います。
良いお年をお迎えください。
甲府より、皆さまに感謝を込めて。
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漢方坂本/坂本壮一郎|note