ちょうど一カ月前のこと。
夜、寝ようと思って二階の寝室に行くと、
先に入っていた妻が窓際に立って、
じっと外を見つめていました。
真っ暗の部屋で、まったく動かず立ち尽くしていたので、
少し怖かったです。
聞くと、どうやらおかしな動きをする猫が外にいるようで、
か細い声でニーニー鳴くので、気になって眠れず、ずっと外を見ていたようです。
我が家の周りには地域の野良猫がたくさんいて、
そのうちの一匹でした。前にみたことのある猫です。
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その猫が、ずっと砂利の上でゴロゴロしています。
たまに砂の上で遊んでいる猫がいるのでそれかと思いました。
でもちょっと違う。気になって妻と一緒にじっと観察していると、
どうやら立てないようです。
立ってもすってんころりん。コロコロと転がってしまうのです。
白くて毛の長い猫です。
そしてその近くに、兄弟でしょうか、黒猫とグレーの猫もいます。
心配そうに見つめている猫たちに、
立てない白猫は助けを求めるようにニーニーと鳴いています。
明らかに異常事態。
寝ようとしていた私の脳は一発で目覚めました。
時刻は22時を回っていましたが、段ボールを抱えて家を飛び出します。
妻には夜間診療を行っている動物病院に、電話するよう指示して。
直ちに捕獲。段ボールに入れて、
そのまま動物病院へと向かいます。
そして、入院。
結局のところ、様々な検査をしても原因はわからず。
ご飯を食べてくれることが救いでした。
手足に力が入らず、座ることも出来ない猫ちゃんを、
私たち夫婦は「しらたき」と名付けました。
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退院後、看病の日々が続きます。
立てない、座れない、なので当然、食事も排泄も自力では不可能です。
シリンジを使ってご飯を食べさせようとしますが、
慣れない私たちの手つきでは上手に食べてくれません。
体力もなく、シャワーで体を洗ってあげることもできない「しらたき」は、
白い毛が捻じれて毛玉になって、所々毛も抜けて剥げてしまっています。
それでも何とかきれいに拭いてあげて、
ご飯も何とか頑張って食べてもらって。
それでもどんどん体重は減っていきます。
一週間後には、2キロを割ってしまいました。
病院の先生には、おそらくもってあと1週間かもと。
それでもあきらめず、お薬をもらって介護を続けたところ、
しらたきは強かった。何とか持ちこたえました。
1カ月経つ今、ご飯もちゃんと食べて、
自力で排泄して、
寝返りをうてるまでに回復しました。
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私たちの新しい家族、猫のしーちゃんです。
まだ満足に動くことはできません。
ただ私たちにシャーっと威嚇できるくらいには元気になりました。
女の子です。繊細で敏感です。
気は強い方だと思います。
頬ずりしようとして顔を近づけると、普通に嫌がります。猫パンチを出せるようになりました。
心配していたのは、先住猫のお萩のこと。
相性はどうかなと。お互いストレスになるのではないかと。
激しく喧嘩してしまったり、
ストレスで体調を崩してしまったり、
大いにあり得ると思っていました。
しかし結局のところ、意外な形でその心配はありませんでした。
というのも、互いに完全に無視。
近くに寄っても見もしません。
何なら近くに寄ることもしません。
互いに、いないものとして扱っている感じ。
全くもって我関せず、という態度なのです。
猫同士って奥深いですね。そういう関係もあるのだなと。
それはそれでまぁいいかということで、今は大まかに部屋を分けて生活しています。
しーちゃん、このまま動けるようになるといいなぁ。
私もしらたきも、強制給餌には慣れてきました。
そしてこの先、自力でご飯を食べることが次の目標です。
生命の粘り強さに感動した初夏。
今回のコラムはただただ猫好きの皆さまに向けた、
近況報告でした。
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漢方坂本/坂本壮一郎|note