漢方治療の心得 22 〜処方の真意〜 現在の漢方治療は、多くのケースで「処方第一主義」をとっています。方ほう(処方)と証しょう(病態)とが相対するという、漢方の基礎理論から言えばそれでも良いのかも知れません。しかし、その先がある。漢方治療には、「処方は決して解答ではない」という、その先の領域があるのです。 2021年05月13日
漢方治療の心得 21 〜逆行と同調〜 治療の考え方には二通りあります。一つは「現状に対して逆行する形を導く」という考え方。冷えているなら温める、熱があるなら冷ます。これが基本です。しかし考え方はそれだけではありません。「現状に対して同調する」という考え方があります。この考え方を持てるかどうかで、治療の幅は大きく変わります。 2021年02月05日
漢方治療の心得 20 〜何を治すのか〜 私が得てきた漢方治療の技とコツを、お伝えするべく始めた「漢方治療の心得シリーズ」。早いもので20回目を迎えました。たくさんの先生方から、そして、たくさんの患者さまたちから、本当にたくさんのことを教えてもらってきたのだと感じます。20回目を迎えた今回は、私が最初に感じた臨床のコツをお話します。 2020年12月12日
漢方治療の心得 19 〜観えると観えないとの差〜 先入観。物事を正しく見るために、必要であると同時に、往々として邪魔になり得るもの。治療においては、いつだってこのバランスが問題になる。師匠が最初に教えてくれたこと。それは、先入観との折り合いを模索し続けろということ。分かると分からない、観えると観えないとの狭間にこそ、真実があるという口訣です。 2020年10月06日
漢方治療の心得 18 〜人を観る〜 症状をパズルのようにならべ、そこから処方を紐解いたとしても、何の意味もありません。思い浮かべるべきものは、人なのです。気力を失い脱力した姿態、苦悶に満ちた表情、そういうリアルな患者さまが、臨床家に愛される漢方の聖典・『傷寒論(しょうかんろん)』には生き生きと描かれています。 2020年08月06日
漢方治療の心得 17 〜美しい漢方〜 美しいか・美しくないか。この尺度は漢方を学ぶ上で重要だと教えられ続けてきて、実際に臨床を通して痛感します。患者さまを観て、症状から病態そして薬方までに一本綺麗な線を引けた時が一番よく効くということはおそらく多くの臨床家が実感していることではないかと思います。 2020年07月30日
漢方治療の心得 16 〜古典の読み方〜 私見では、古典は必ず読むべきものです。特に『傷寒論(しょうかんろん)』や『金匱要略(きんきようりゃく)』、さらには『黄帝内経(こうていだいけい)』といった聖典は、必ず読んだ方が良い。自分自身の経験からいってそう思います。臨床上、どうしてもそう感じざるを得ないのです。 2020年06月06日
漢方治療の心得 15 〜優しい漢方家〜 人の話を良く聞く。指導の前に、まず共感すること。自分のやり方よりも、まず相手に合わせるやり方こそが求められるようになった。ある意味で、当然のことだと思います。一方、病を治す、症状を改善する、人のためにこそ相手の視線に立つならば、時には厳しい指導が必要な時があるのかも知れません。 2020年04月27日
漢方治療の心得 14 〜風邪は万病のもと〜 師匠が最初に教えてくれたもの、それは風邪(かぜ:感染症)治療でした。「風邪を上手に治せる人は、慢性病の治し方もうまい。しかし逆はない」。「風邪は万病のもと」だと良く言われますが、この言葉は我々漢方家への訓戒でもあるのです。風邪の治し方は万病の治療に通ずるのだと。 2020年04月08日
漢方治療の心得 13 〜上達を知る時〜 漢方の上達。何をもって腕が上がったと感じるのか?それを私なりに具体的に言うならば、「共感」の一言に付きます。自分の言っていることが伝わる、という意味ではなく、相手の言っていることが分かる、という共感です。たくさんの方々と共感すること自体が、すなわち成長になる。これは真実だと思う。 2020年03月23日