■症例:PMS(月経前緊張症)

始めはダイエットのご相談だった。

30代女性。

入店した時から、異彩な空気をまとっている方だった。

見た目にダイエットが必要な体形では決してない。
骨格の良さは伺える。しかし医療者としてダイエットの必要性は感じられなかった。

よくよく話を聞く。体調をそれとなく把握してみる。

私は漢方薬の服用をお勧めした。明らかにPMS症状を持たれていたからだった。

月経前の強いイライラと食欲の増加、上半身の浮腫みに不眠、そして何よりも強い便秘傾向。

ここまで綺麗にそろっているならば、むしろ分かりやすい。
改善しなければいけないのは心下(胃部)の詰まりである。

私が出した煎じ薬は決して飲みやすいものではなかった。
しかし、この方はそれを一週間後の来局時に「飲みやすい」と言った。

そして早くも便通の改善と熟睡感を感じられたようだった。

この女性は、世界を飛び回るアーティストである。
美を生業とし、だからこそ美しさは体内から作られることを知っていた。

その生活は過酷である。話を聞くと、とても私にはできないと思った。

この方の心下(胃部)には緊張が硬く詰まっていた。
問診の最中、朗らかに話されながらも、プロとしての強い気概が胃に詰まっていたのである。
その強さは、少しばかり驚くほどだった。ご自身の仕事に対する使命感だと、私は解釈した。

同じく仕事をする身として、勉強させて頂いた気持ちでいる・・。

今は東京に拠点を移された。

それでも定期的に漢方薬を取りに来ていただけている。感謝するばかりである。
華やかさと過酷さとを備えた業界の中で、これからも天性のバイタリティーを維持していかれるのだろう。

今後も漢方家としてお力添えしていきたい。

■病名別解説:「月経前緊張症(PMS)