《note》五苓散と苓桂朮甘湯の違いを理解しているか

2025年10月15日

漢方坂本コラム

漢方坂本/坂本壮一郎@note

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【問題】

「頭痛」を訴えられている患者さまで、

平素より強い口喝傾向があり、

水を大量に飲んでいるのにもかかわらず、

小水の出がそれほど多くはない。

体、特に足や顔が浮腫んで重だるく、

やや下痢の傾向がある。

このような患者さんに、

どちらの漢方薬を使うべきか答えなさい。

➀五苓散
➁苓桂朮甘湯



さて、このような問題があったとしたら、

皆さんはどう答えますか。

浮腫みや下痢などの「水滞」の症状が出ています。

そしてポイントは「口喝」と「小便不利」です。

解答は➀の五苓散。

どうでしょうか。

この答えに納得できる方は多いと思います。

しかし、そうはいかないのが実際の臨床。

私ならばこう考えます。

苓桂朮甘湯でもいける可能性があるな、と。

なのでこの問題、

自分で出しといて何なのですが、

はっきり言ってどちらにも答えようがない欠陥問題です。

強い口喝があるのにもかかわらず、

五苓散ではなく苓桂朮甘湯で対応するべき時がある。

五苓散と苓桂朮甘湯、

両者の鑑別は、教科書的に言えば口喝の有無ですが、

臨床では、必ずしもそうとは限りません。

両者の見極めは、より根本的なところを見る必要がある。

今回のnoteでは、そこを解説してみました。

両者ともに利水剤として良く知られている薬ですし、

何となく全然違う薬だというイメージもあります。

しかし先の問題の解答が「五苓散」だと感じた方は、

今回の記事をお読みいただき、ぜひ両者の違いを再考するきっかけにしてください。



 

五苓散と苓桂朮甘湯の違いを理解しているか

 

五苓散と苓桂朮甘湯の違いを理解しているか|漢方坂本/坂本壮一郎
五苓散と苓桂朮甘湯とはともに茯桂剤であり組成も近い。そしてめまいや浮腫みなどの水分代謝異常、いわゆる水毒を取る薬として使...

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