漢方治療の経験談「更年期に伴う酒さ治療」を通して

2022年04月08日

漢方坂本コラム

顔面部のほてり・赤みを生じる「酒さ」。

一言に酒さといっても、顔のほてり、赤味の出かたにもいろいろあります。

その症状を大きく分けると2つあります。酒さ治療において、私見では病態の見立て上、大きく2つに分けています。

まずは、顔がほてって赤くなるものの、赤くない時もある、という場合。

朝起きた時は赤くない、しかし、活動しているうちに赤くなってくるというケースがあります。

また逆に朝が一番つらく、時間が経つにつれて赤みが引いてくるというケースもあります。

とにかく何らかの状況・刺激で一度ほてるとなかなか引きにくいものの、

ほてらない時はほとんど赤くない。そういう酒さが一つのパターンとしてあります。

一方で、顔がずっと赤いという酒さもあります。

波はあるものの、基本的に地が赤い、というケースです。

顔面の皮膚に赤みがずっとあり、それが何らかの刺激や行動によってさらに赤くほてるというケース。

そして地の赤さにも程度があり、見るからに真っ赤で、赤黒くなっているという方もいれば、

ほんのりと赤いという方もいます。やや桜色からピンク色、ぽっと赤付いているというケースもあります。

この常に赤みがある酒さと、赤みが引いている時がある酒さ。

どのような酒さであれ、その不快感は一概に言えません。

例えば赤くない時もある、という方のほうがずっと赤いという方に比べて楽かというと、決してそういうわけではありません。

また赤みが強く赤黒い方よりも、ほんのり赤いというくらいのほうが楽かというと、決してそういうわけでもありません。

顔面に起こる症状故に、どのような場合であっても気になるものは気になります。

そのため不快感という程度を必ずしも赤味の程度では比べることはできないのですが、赤みとその変化の程度に違いがあることは確かです。

では、臨床上どのようなケースが治しやすいかというと、

実は「ずっと赤い」という方のほうが治しやすかったりします。

特に閉経前後の更年期に伴い赤みが消えなくなったという方

実際にこういう方はかなり多く、地がずっと赤く、かつけっこうな強い赤みを起こしている方が多いものです。

ただし症状の強さに反して、比較的治療しやすいという印象があります。

だいたいの方が赤みがひどいだけでなく、赤黒い発疹を生じていて、熱感も相当強力です。

さらにあらゆる軟膏や抗生剤などの飲み薬が効かず、レーザー治療などでさらに悪化したという方が多い印象です。

一見非常に治しにくそうな酒さに聞こえますが、それでも対応の仕様があります。

治しやすいというのは、時間的に治りが早いとか、簡単に治せるということではなく、

病態が読み取りやすく、処方を断じやすいというか、治療の道筋が見えやすいのです。

時間はかかるものの、服用後比較的早い段階で、改善へと向かっている感覚を受ける方が多いものです。

見た目の症状だけで病の程度は判断できない。酒さにはそういう傾向があるように、常々感じています。

更年期に伴う強力な顔の赤みが、なぜ治療しやすいのか。

その理由を自分なりに考えてみると、やはり閉経という状況が強く関与しているからだと感じています。

東洋医学では閉経に対して独特の考え方があります。

閉経はあくまで生理現象で、病気ではありません。ただし女性にとって体の機能を大きく変化させるきっかけであることは確かです。

その変化の波が急激であったり、順調に進んでいかない場合にいわゆる更年期障害が起こります。

この波を穏やかにさせる・変化を順調に向かわせるという手法が漢方にはあり、その治療手法に乗せることで酒さも同時に改善してくる場合が多いのです。

酒さと更年期とに関連があるという考え方自体が、非常に東洋医学的だと思います。

片や皮膚科、片や婦人科、両者の関連は西洋医学をもって科学的に証明することはたぶん難しいでしょう。

しかし、確実に関与はあって、漢方ではそれを経験的にとらえてきました。

どこで治療してきても治らなかったという方が最後に漢方にたどり着くのも、それほど不思議ではないように思います。

ともあれ閉経のタイミングで顔が真っ赤にほてり、赤さが全く引かなくなってしまったという方であれば、

是非一度、漢方専門の医療機関に足をお運びください。今までの皮膚治療が効かなかったからといって、諦める必要はないと思います。



■病名別解説:「酒さ・酒さ様皮膚炎・赤ら顔
■病名別解説:「更年期障害

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