漢方治療の経験談「痛風治療」を通して

2021年03月26日

漢方坂本コラム

当薬局でも常に何人かの患者さまを診させていただいている、そんな病の一つに「痛風」があります。

※痛風について

尿酸が間接の中で固まって結晶となることで炎症を起こし、強い腫れと痛みを起こす疾患。突然起こり、かなりの激痛を伴うことが多い。プリン体というエネルギー源が代謝されたものが尿酸で、この尿酸が血液中にたくさん含まれるようになると痛風発作を起こすようになる。足の指に多く起こるが、足首や膝などの間接にも発生することがある。その場合、立つことができないというほどの状態になることさえある。

漢方治療をお求めになる方は、痛風が慢性化している、つまり尿酸値のコントロールが上手くいっていないという方が多い。だからそんなに強い腫れや痛みは起きていない状態で来局されているように思われがちですが、それは違います。強い腫れと痛みをすでに起こしている急性期から亜急性期、そんな状態で来られる方がけっこう多いのです。

初めて起きました、という方はあまり来られませんが、何度が繰り返していて、その都度痛み止めで抑えているという方が来られます。しかも何回も繰り返すものだから痛み止めをいつまでも止められないし、最近効かなくなってきましたという方が多い。だからだいたいの方が今痛みを起こしているという最中に来られます。

そして痛風による炎症は漢方薬で良くなります。全てが全て、というわけにはいきませんが痛風発作による腫れは比較的引きやすい、そんな印象があります。漢方の治療上似ている病にリウマチがありますが、痛風の方が断然引きやすい。そういう意味では治療者にとってはリウマチ治療の良い勉強にもなるかと。両者は全く別の疾患ですが、似ている部分もまた多いのです。特に漢方ではそう捉えられる。東洋医学の面白さの一つかと。

痛風治療は数ある「漢方での痛み治療」の中でもある種基本的な治療に属しています。私は少なからずそう感じていますがそれは治し方に明らかな「道筋」があるからです。治療の基本を抑えることが全て、そんな疾患だと言い換えても良いかもしれません。

「道筋」というのは治療上とても大切なことで、これからどう変化していくのか、どこまで変化したらどの処方に移行しなければいけないのか、という予測を立てる、指針を決定する際にどうしても必要になります。多くの疾患はこれが多岐に渡ります。でも痛風は比較的これが分かりやすいのです。道筋がそう何本も無いというか。この状態ならこの処方でいけるよね、ここまでいったらもうこれだね、というようにけっこう割り切れる感じ。割り切れる、というのは治療上とても重要なことなのです。

良く使われる処方としては、越婢湯(えっぴとう)・桂枝二越婢一湯(けいしにえっぴいちとう)・竜胆瀉肝湯(りゅうたんしゃかんとう)・疎経活血湯(そけいかっけつとう)のあたりでしょうか。だたしこれらには限界があります。エキス顆粒剤なら特にそうかな、どうしても限界があります。治療の「道筋」が立てられていない場合においては特にそう。なので治療家目線で見ると非常に勉強になる疾患かと。激痛に悩まれている患者さまに素早く良くなってもらうという意味でも、思考を割り切るための用意をしておくべき疾患です。即効性を狙っていくべきだと思います。

多くのケースで迅速な効果を期待できる病です。足を引きずって来られる方や、毎日痛みに悩まされている方が、一週間や二週間で痛みが取れてきました、楽になってきましたと喜んでいただける、そして「先生すごいですね」とお褒めいただける、そんな疾患ですがやはり私がすごいわけではありません、漢方治療がすごいのです。漢方治療を専門に行っている医療機関であれば、基本さえ抑えればしっかり治せる病ですから「特に私が」というわけでは決してありません。お悩みの方は漢方治療をぜひ検討してみてください。

中には炎症をこじらせてしまっている方もいらっしゃいます。腫れと痛みを引かせるためにかなりの時間を要してしまうケースが確かにあって、そういう方にどれだけ迅速な効果を発揮していけるのかという点が今後の課題です。やはりベースは基本に置く。しかしその上で更なる的確さ・正確さを求めていかなければなりません。『温病条弁(うんびょうじょうべん)』がカギだと思っています。

ともあれ、効果が明確にわかるという意味では、患者さまにとっても治療者にとっても治療し甲斐のある病かと。当然長期管理も必要ですが、それも含めて迅速に改善できるよう今後も尽力していきたいと思います。



■病名別解説:痛風・高尿酸血症

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