「中医学」と「漢方(日本伝統医学)」
どちらを勉強したら良いでしょうか?という疑問に対して。
回答は、「両方」、です・・・。
この解説ではちょくちょく身も蓋もないことを言ってしまっています。
しかし私にはこの回答以外に思いつきません。
そしてどちらが先だって良い。
要は、両方知ることが大切です。
私は初学の時、北里研究所東洋医学総合研究所という漢方を専門に扱う医療機関にて修行を始めました。
大塚敬節先生が初代所長であるこの機関は、どちらかといえば日本伝統医学に傾倒したものです。
つまり私は、まず「漢方」から入りました。
その後、北里を退職するとともに鶏林東医学院というところに所属し「中医学」の勉強を始めます。
せっかくなら中医学も知らないと勿体ない、と思ったからです。
鶏林東医学院に入塾する時の面接で、院長でおられた梁先生に
「北里は日本漢方だろう。うちは中医学だけどいいのか?」と聞かれた際、
「だから入塾したいのです!」と息巻いたことを赤面ものの恥ずかしい記憶として覚えています。
でもその時の気持ちは、今でもその通りだ、と思っています。
そもそも昭和の大家が活躍していた時代の日本では、未だ現代中医学を知ろうにも、書籍がないため知ることさえできませんでした。
大家の一人である龍野一雄先生は、中医学に新しい視点を見出すも、資料不足のために大変苦心されたことがその著書から伺えます。
現代はそういう時代とは異なり、書籍が多くそろっていますので、少なくとも中医学を知ることができます。
恵まれた時代なのです。学ばない手はない、と思います。
中医学を知ると、漢方(日本伝統医学)のことがより深くわかります。
漢方(日本伝統医学)のことを知っていると、中医学のこともさらに深く理解することができます。
そして大切なことは、
漢方も中医学も、決して完成されたものではない、ということです。
両者ともに、同じ人体という未知なるものを見るためのヒントを提示しているに過ぎません。
どちらをやっているにしても、結局は自分の形ができあがります。
漢方がある、そして中医学がある、
では自分には何がある?
もう漢方が良いとか、中医学の方が良いとかを言っている時代ではないと、しみじみ感じます。
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