漢方坂本コラム

漢方とアート 8 ~根拠の意味~

想像力は、現実に対する戦いにおける唯一の武器である。ルイス・キャロルが残したこの言葉は、おそらく真理を突く言葉の一つでしょう。医学であろうと文学であろうと、人が織りなしたものには必ず想像性が介入します。想像性を確かなものにするために、科学というエビデンスがあり、また経験というエビデンスがある。

■症例:腕の痛み・手指のこわばり

仕事にて日常的に手指を使うという女性から、治療のご相談を受けた。腕の痛みと、手指の強張こわばり。以前から漢方を試してみようと思い、当薬局に来局された。腕・手指の痺証には、頚椎などの骨に異常があるもの、そうではなく内臓に異常があるもの、そしてどちらにも属さず疲労の蓄積によるものと、さまざまな病態が考えられる。

漢方治療の経験談「更年期に伴う酒さ治療」を通して

東洋医学では閉経に対して独特の考え方があります。閉経に伴う体の機能の変化の波が急激であったり、順調に進んでいかない場合にいわゆる更年期障害が起こります。この波を穏やかにさせる・変化を順調に向かわせるという手法が漢方にはあり、その治療手法に乗せることで酒さも同時に改善してくる場合が多いのです。

【漢方処方解説】加味逍遙散・逍遥散(かみしょうようさん・しょうようさん)

月経前にイライラする、といえば加味逍遙散。そう想起するほど、本方はPMSに頻用されている有名処方です。ただし当然、PMSにおける全てのイライラにこの処方が効くわけではありません。逍遥散に牡丹皮(ぼたんぴ)、山梔子(さんしし)という身体の興奮や炎症症状を抑える清熱剤を加えたのが加味逍遙散です。

漢方治療の心得 29 ~処方の意図~

歴史上、はじめて世に漢方処方を打ち立てた『傷寒・金匱』。そこに収載される処方郡を「経方」と呼びます。これらの処方こそが、多くの処方の原型になっています。逍遥散の中にも、芎帰調血飲の中にも、一見ゴテゴテした漢方処方であっても、必ず経方から導かれる創作者の意図が潜んでいるのです。

〇漢方治療の実際 ~【質問】漢方は何種類まで飲んでいいのか~

本来漢方は処方中の生薬の産地や分量を調節することで、より各個人に合わせた自由な運用を行うものです。ただし、煎じ薬ではそれが出来てもエキス顆粒剤ではそれが出来ません。エキス顆粒剤は処方として固定されているので、個人差に合わせることが難しいというデメリットがあります。

花粉症の原因、花粉だけに非ず。

春になると鼻炎が起きて鼻がつまったり、目が痒くなってきたりします。花粉症の原因は当たり前ですが花粉です。なのですが、花粉の飛散量に関わらず、急激に暖かくなった時ほど花粉症は強く起こるものです。これは、急激に暖かくなることで、身体外部に充血が起こりやすくなる点がかなり関与していると思います。

□排尿障害 ~効いた薬と効かない薬・漢方治療の現実~

ここ近年、排尿障害を治療する機会がかなり増えています。昔に比べると、治療の仕方も使う処方も、かなり様変わりしたと思います。例えば排尿障害にしばしば用いられる有名処方である猪苓湯(ちょれいとう)や清心蓮子飲(せいしんれんしいん)。今ではもう、これらの処方を使うことはほとんどなくなりました。

春に起こりやすい症状と自律神経

日中と夜間朝方の気温差。それがもたらす体への負担。春の体調不良は、この寒暖差がポイントになります。このコラムでは「イライラ・情緒の乱れ」「胃腸障害・胃腸の冷え」「だるさ・倦怠感」など、この時期特に出てきやすい症状をいくつかピックアップして解説しています。

漢方治療の心得 28 ~教育と求道~

教育と求道。両者の本質は、全くの別物です。前に進む人が道を照らし、それを進むのが教育です。一方、真理を追い求めんとする学問という世界には、そもそも道など用意されていません。ただあるのは無限の空間です。その中で、闇に音を響かせたり、ただよう香りをかぎ分けたりして、手探りで歩いていく。だから、求道というのです。