漢方処方解説

【漢方処方解説】帰脾湯・加味帰脾湯(きひとう・かみきひとう)

心療内科系の漢方薬として有名な帰脾湯・加味帰脾湯。薬局では「心脾顆粒」という名称でもしばしば販売されています。医療用漢方製剤の添付文章によれば、本方は「虚弱体質で血色の悪い人の貧血・不眠症」に使う薬と記載されています。今回はこの処方の方意をもう少し深く掘り下げていきたいと思います。

【漢方処方解説】加味逍遙散・逍遥散(かみしょうようさん・しょうようさん)

月経前にイライラする、といえば加味逍遙散。そう想起するほど、本方はPMSに頻用されている有名処方です。ただし当然、PMSにおける全てのイライラにこの処方が効くわけではありません。逍遥散に牡丹皮(ぼたんぴ)、山梔子(さんしし)という身体の興奮や炎症症状を抑える清熱剤を加えたのが加味逍遙散です。

【漢方処方解説】当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)

婦人科の薬として名高い当帰芍薬散。月経痛・月経困難症や、手足の冷え・浮腫み・めまい・頭痛などを改善していく女性の聖薬です。その適応症は「やせて体力のない虚証(きょしょう)の人。体力虚弱で、冷え症で貧血の傾向があり疲労しやすく、ときに下腹部痛、頭重、めまい、肩こり、耳鳴り、動悸などを訴えるもの」とされています。

【漢方処方解説】八味地黄丸(はちみじおうがん)・下編

八味地黄丸、そこから改良された牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)が適応する「腎気」とは何か。この問題に対しては、永い漢方の歴史においても未だに解答は出ていません。今回は八味地黄丸の解説の最後として、未だ考察の段階ではありますが、私自身の見解を一つの案としてご紹介したいと思います。

【漢方処方解説】八味地黄丸(はちみじおうがん)・中編

「高齢者の元気をつける薬」と称される八味地黄丸やそこから改良された牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)ですが、そのような文言では八味地黄丸、牛車腎気丸をちゃんと説明しているとは言えません。八味地黄丸は「うっ血性心不全」のごく初期の状態や「糖尿病」に効果を発揮します。そして排尿障害に対しても効果を発揮します。

【漢方処方解説】八味地黄丸(はちみじおうがん)・上編

八味地黄丸(別名・腎気丸)やそこから改良された牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)は、有名だから頻用されるも、勘違いのまま使われるため効果がほとんど出ません。そのため、由緒正しい名方であるにも関わらず「効かない薬」というイメージを持たれてしまいます。八味地黄丸にはこの薬が本来適応するべき病態があります。

【漢方処方解説】苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)

「立ちくらみ」を治す薬。そう言われた時に、漢方家が真っ先に思い浮かべる処方が苓桂朮甘湯です。『傷寒論しょうかんろん』という漢方のバイブルに記載されている由緒正しい名方です。現実的には「立ちくらみを起こしやすい体質を持った方」が起こす「頭痛」や「動悸」、「めまい」や「浮腫み」などの治療薬として使います。

【漢方処方解説】柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)

柴胡加竜骨牡蛎湯はパニック障害や自律神経失調症など、動悸や不安感を伴う疾患に頻用されている処方の一つです。さまざまな所で解説されている有名処方ではありますが、正直に申し上げると、飲んでみたけどあまり効果を感じられなかったとおっしゃる患者さまが多い処方でもあります。

【漢方処方解説】補中益気湯(ほちゅうえっきとう)・後編

今回は補中益気湯(ほちゅうえっきとう)の本質的な効能を紐解いていきたいと思います。史実から判断すると、補中益気湯は「身体の火(興奮)を鎮めるための処方であるということ」「消化機能を鼓舞することで火を沈静化させようとした処方であるということ」といった特徴を備えた処方だということが分かります。

【漢方処方解説】補中益気湯(ほちゅうえっきとう)・前編

漢方薬の中でも一二を争う有名処方である補中益気湯(ほちゅうえっきとう)。特に「疲れ」や「倦怠感」に対して用いられることの多い処方ですが、実はあまり効果が感じられないという声を聞くことが多々あります。この理由を知るためには、実は「歴史」を紐解く必要があります。