漢方処方解説

【漢方処方解説】八味地黄丸(はちみじおうがん)・上編

八味地黄丸(別名・腎気丸)やそこから改良された牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)は、有名だから頻用されるも、勘違いのまま使われるため効果がほとんど出ません。そのため、由緒正しい名方であるにも関わらず「効かない薬」というイメージを持たれてしまいます。八味地黄丸にはこの薬が本来適応するべき病態があります。

【漢方処方解説】苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)

「立ちくらみ」を治す薬。そう言われた時に、漢方家が真っ先に思い浮かべる処方が苓桂朮甘湯です。『傷寒論しょうかんろん』という漢方のバイブルに記載されている由緒正しい名方です。現実的には「立ちくらみを起こしやすい体質を持った方」が起こす「頭痛」や「動悸」、「めまい」や「浮腫み」などの治療薬として使います。

【漢方処方解説】柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)

柴胡加竜骨牡蛎湯はパニック障害や自律神経失調症など、動悸や不安感を伴う疾患に頻用されている処方の一つです。さまざまな所で解説されている有名処方ではありますが、正直に申し上げると、飲んでみたけどあまり効果を感じられなかったとおっしゃる患者さまが多い処方でもあります。

【漢方処方解説】補中益気湯(ほちゅうえっきとう)・後編

今回は補中益気湯(ほちゅうえっきとう)の本質的な効能を紐解いていきたいと思います。史実から判断すると、補中益気湯は「身体の火(興奮)を鎮めるための処方であるということ」「消化機能を鼓舞することで火を沈静化させようとした処方であるということ」といった特徴を備えた処方だということが分かります。

【漢方処方解説】補中益気湯(ほちゅうえっきとう)・前編

漢方薬の中でも一二を争う有名処方である補中益気湯(ほちゅうえっきとう)。特に「疲れ」や「倦怠感」に対して用いられることの多い処方ですが、実はあまり効果が感じられないという声を聞くことが多々あります。この理由を知るためには、実は「歴史」を紐解く必要があります。

【漢方処方解説】桂枝加竜骨牡蛎湯(けいしかりゅうこつぼれいとう)・後編

桂枝加竜骨牡蛎湯とは「温泉に入った時に感じる、心地よい脱力感を導く薬」です。血行が良くなることで悩みがどうでも良くなってくる。現実的に起こり得るこの現象こそが、桂枝加竜骨牡蛎湯の薬能の土台になっています。したがって桂枝加竜骨牡蛎湯で治めることができる緊張と興奮とは、血行を促すことで取れるものと言う事ができます。

【漢方処方解説】桂枝加竜骨牡蛎湯(けいしかりゅうこつぼれいとう)・前編

今回解説する桂枝加竜骨牡蛎湯(けいしかりゅうこつぼれいとう)は、心療内科や精神科領域の病に対して使用される機会の多い処方です。特にパニック障害や自律神経失調症など、不安感や焦燥感(あせり)を伴う病で頻用されています。そして半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)などと同じように、かなり有名な漢方処方の一つでもあります。

【漢方処方解説】半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)・後編

半夏厚朴湯は、小半夏湯が持つ二方向性の原型たる薬能を崩さず、あくまで中位の方剤として編み出された基本処方です。そのため実際の臨床においては固定した薬方として考えるべきではなく、半夏・厚朴、生姜・蘇葉の薬能を調節をもって運用するべき処方だと言えるのです。

【漢方処方解説】半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)・前編

今回解説する半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)は、心療内科・精神科領域において最も有名な処方と言っても良いと思います。「咽が詰まって息苦しい」など、咽に生じる違和感に対してファーストチョイスで使用されている処方です。現実的な使い方としては「胃薬として使う」「咳止めとして使う」といった運用方法が挙げられます。

【漢方処方解説】五苓散(ごれいさん)

『傷寒論』という感染症による急性熱性病の治療を述べた書物の中で、「風邪をひいて熱が出て、そして汗が大量に出たあとに、もし咽が渇いて落ち着かず、寝ることが出来ない時は、水を少しづつ飲ませてみなさい。そうすれば治ります。でももし、まだ体が熱っぽいなら五苓散が必要です。」と記載されています。