病名別コラム

漢方治療の経験談「自律神経失調症治療」を通して 2

自律神経失調と聞くと、あたかも精神や心を乱している病を想像しますが、実際には違います。自律神経失調は、脳や心の病気ではなく、体にある神経の乱れを指しています。脳と体とは、これらの神経を介して繋がっているので当然切り離すことはできませんが、体の乱れが基にあることで、それが心に影響を及ぼしているという状態を指しています。

漢方治療の経験談「不眠症・睡眠障害治療」を通して

眠りは日中の運動、適切な食生活など、からだ全ての活動が順調に関連した結果として起こります。漢方ではこの関連に着目します。従って、例えば不眠治療で有名な酸棗仁湯(さんそうにんとう)や温胆湯(うんたんとう)、抑肝散(よくかんさん)などを無作為に飲んだところで、眠れるようにはならないというのが臨床の現実です。

漢方治療の経験談「陰部湿疹・陰部掻痒症治療」を通して

私の経験上、「陰部湿疹」や「陰部掻痒症」は漢方治療によって改善可能な病です。薬方選択においては、皮膚病治療の大枠を捉えておく必要があり、さらに陰部に起こるという特殊性を鑑みることが重要です。単に「十味敗毒湯」や「黄連解毒湯」、「竜胆瀉肝湯」や「加味逍遙散』などの処方のみでは効果を表しません。

◆漢方治療概略:「疲れ・疲労倦怠感」・後編

「疲れ・疲労倦怠感」においては、一般的に「虚」に対する治療がしばしば行われます。「虚実」は東洋医学における重要概念ですが、虚実の見極めのポイントを「前編」にて解説しています。後編では、疲労を取るときに使いやすい漢方処方のうち、「十全大補湯」「補中益気湯」「小建中湯」「六君子湯」の4つの有名処方について解説していきます。

◆漢方治療概略:「疲れ・疲労倦怠感」・前編

疲労倦怠感。誰しもが感じることのある「疲れ」は、漢方治療では最も得意とする症状です。「ちょっとしたことで疲れやすい」「夕方になると体がだるくてしんどい」「寝ても疲れが取れない」「眠りが浅くて寝た気がしない」このような疲労感を感じておられる方が、日々漢方治療をお求めになってご来局されます。

□月経前症候群(PMS) ~基礎だけでは通用しない・漢方独自の見立て~

前回のコラムでは、現在行われている月経前症候群(PMS)治療における問題点として、「気血水」の分類だけで処方を選択するやり方、そして「証」を探すことで処方を決定しようとするやり方の二つを挙げてみました。今回は、実際にどのように考えていくことが正しいのか、その一端を説明していきたいと思います。

□月経前症候群(PMS) ~なぜ効かないのか・現行の漢方治療とその問題点~

当薬局でもかなり多くの月経前症候群(PMS)治療を経験してきました。そして来られる方のほとんどが、すでに何らかの漢方治療を受けられていた方達です。例えば加味逍遥散・当帰芍薬散・桂枝茯苓丸の婦人三大処方など。これらの処方は、確かにPMSに効果を発揮することがありますが、実際には改善しないというケースが少なくありません。

◆漢方治療概略:「頭痛」・後編

頭痛のみならず、月経にまつわる症状(下腹部痛、腰痛など)に対して手軽に服用できる漢方薬としては、当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)、加味逍遥散(かみしょうようさん)、抑肝散(よくかんさん)があります。また、緊張・興奮・高血圧に伴う頭痛には釣藤散(ちょうとうさん)、抑肝散(よくかんさん)が挙げられます。

◆漢方治療概略:「頭痛」・前編

補中益気湯(ほちゅうえっきとう)、十全大補湯(じゅうぜんたいほとう)、これら2つの処方は、疲労によって起こる頭痛に使いやすい薬です。また、天気・気圧に左右される頭痛には呉茱萸湯(ごしゅゆとう)や五苓散(ごれいさん)、苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)、半夏白朮天麻湯(はんげびゃくじゅつてんまとう)が挙げられます。

漢方治療の経験談「ニキビ・尋常性ざ瘡治療」を通して

ニキビ治療の本質は、薬物治療と生活改善との両立です。ニキビは皮膚の病ですが、からだ全体を診ながらより大きく、「病態の流れ」を把握しなければなりません。ニキビ治療で有名な十味敗毒湯や黄連解毒湯、荊芥連翹湯や清上防風湯などは、ニキビの特効薬ではなく、あくまでこの流れの中の一場面において使う薬です。