漢方坂本コラム

睦月(むつき)の嵐

低気圧が引き金になって起こりやすい症状には、胃のもたれや胃痛、食欲の低下や吐き気のほか、頭痛や耳鳴り、動悸や息苦しさ、不眠や疲労倦怠感・体のだるさなどが挙げられます。『傷寒論』を基本とした病治の原則に加えて、さらに考察の余地がある新たな「傷寒」。近年、そういう難しい状況を今、迎えていることを実感します。

◆漢方治療概略:「疲れ・疲労倦怠感」・後編

「疲れ・疲労倦怠感」においては、一般的に「虚」に対する治療がしばしば行われます。「虚実」は東洋医学における重要概念ですが、虚実の見極めのポイントを「前編」にて解説しています。後編では、疲労を取るときに使いやすい漢方処方のうち、「十全大補湯」「補中益気湯」「小建中湯」「六君子湯」の4つの有名処方について解説していきます。

◆漢方治療概略:「疲れ・疲労倦怠感」・前編

疲労倦怠感。誰しもが感じることのある「疲れ」は、漢方治療では最も得意とする症状です。「ちょっとしたことで疲れやすい」「夕方になると体がだるくてしんどい」「寝ても疲れが取れない」「眠りが浅くて寝た気がしない」このような疲労感を感じておられる方が、日々漢方治療をお求めになってご来局されます。

花火散るが如く

誰にでも『傷寒論』は読める。しかし『傷寒論』を完全に読み解いた人は、今までの歴史上、一人もいない。なぜ少陰病に、大承気湯が書かれているのか。例えばなぜ陽明病に、麻黄湯が書かれているのか。『傷寒論』の骨格、六経病とは一体何なのか。『傷寒論』の著者、張仲景(ちょうちゅうけい)。燃え尽きる命を、多く目にしてきた聖医。

真冬のひとり言

どんなに優れた漢方家でも、最初の処方だけで改善するとは思っていません。もちろん改善するための最適解たる処方を出すのですが、名医であればあるほど、その薬が効かなかった時のことを、常に考え続けています。そして二診目の時点で、その処方を変えるのか、変えないのか。治療は道のりである、ということです。

□月経前症候群(PMS) ~基礎だけでは通用しない・漢方独自の見立て~

前回のコラムでは、現在行われている月経前症候群(PMS)治療における問題点として、「気血水」の分類だけで処方を選択するやり方、そして「証」を探すことで処方を決定しようとするやり方の二つを挙げてみました。今回は、実際にどのように考えていくことが正しいのか、その一端を説明していきたいと思います。

□月経前症候群(PMS) ~なぜ効かないのか・現行の漢方治療とその問題点~

当薬局でもかなり多くの月経前症候群(PMS)治療を経験してきました。そして来られる方のほとんどが、すでに何らかの漢方治療を受けられていた方達です。例えば加味逍遥散・当帰芍薬散・桂枝茯苓丸の婦人三大処方など。これらの処方は、確かにPMSに効果を発揮することがありますが、実際には改善しないというケースが少なくありません。

新年のご挨拶

有限の資源を扱う漢方治療では、患者さまにお薬をお渡しするまでに、たくさんの方々のお力添えがどうしても必要になります。良質な生薬を作り、育て、流通させ、それらを安定させる努力。農家の方々やメーカーの方々の尽力こそが、日本の東洋医学を支えています。そのおかげで、私たち臨床家や患者さまたちが漢方の恩恵を受けられるのです。

2022・甲府より感謝を込めて

自分にこそふさわしい養生、情報に流されない知恵を実感する。そういう価値が、もし体調を崩したからこそ得られるのだとしたら、今、続けて頂いている努力は、きっと価値あるものだと私は思うのです。人と病。病と治療。漢方の道は深く、険しい。その中でも一歩ずつ、治療のコツのようなものが見えてきたような気がします。

荒ぶる年末

12月に入ってから、精神面、眠り、呼吸・心肺機能、胃腸、顔のほてりやホットフラッシュ、身体の疼痛症状に至るまで。多岐に渡って体調を崩されている方々が増えていますが、毎年元旦は天高く、空が澄み渡ります。そうなれば、これらの症状も落ち着いてくる。食事や運動など、お伝えしている養生を続けていただければ大丈夫です。